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第133話

(ディルside) 俺はリオと一緒に、父に会うために王宮に来ていた。 それは数日前に父から受け取った文書に書かれていた内容に関して話をする為だ。 ー数日前ー 「ディル様、陛下から文書が届きました」 「……父上から?」 俺は差し出された文書をリオから受け取ると、その中身を確認した。 「…………陛下は何と?」 俺は読み終えた文書を机の上に放り投げてため息をついた。 「……宮に住まわせてる者を連れてこい、と」 そう言うと、リオの顔が険しくなった。 「フタバさんの事ですよね?」 「隠し通せるとは思ってなかったし、遅かれ早かれ来るとは思ってたけど……」 「……どうするおつもりですか?」 リオにそう聞かれて、またため息が出る。 「フタバの存在を知られてしまった以上、会わせる他ないだろうな」 「フタバさんが素直に会ってくれますかね?」 「……どうだろうな。あれは王族…というより、国王に嫌悪感を抱(いだ)いているからな」 「フタバさんから聞いた、アルザイル国王の対応では仕方ないと思いますが」 「……そうだな」 そう言って俺はまたため息をついた。 フタバは『国』というものに関わるつもりはこれっぽっちも無い。むしろ避けてる。 にも関わらず、フタバの回りには俺やレイスやフレデリア嬢といった国の中心人物が募ってしまった。 いや、フタバがいくら避けようと、これは逃れられなかったのかもしれない。 フタバは、それ自体が国を揺るがす存在。 これは避けられない運命だったのかもしれない。 「……取り敢えず、レイスにだけこの事を話す」 「フタバさんをいきなり陛下に対面させるのですか!?」 「いや、父上に会うかどうかはフタバ次第だろう」 「……ですが陛下からの要請です。それを断れば不敬に当たります」 「それは恐らくフタバには通用しないだろう。そうなればフタバはアルザイル同様、このレオーネから姿を消すだろうな」 「……どうするおつもりですか?」 「俺が一度父上と話す」 「分かりました。ではそのように手配致します」 「あぁ、頼む」

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