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第135話
(ディルside)
「………では、今そなたの宮に居るのはアルザイルの勇者だと言うのか?」
俺はフタバの事を隠さず父上に話した。
「はい、本人にも確認しました。アルザイル側の証言は取れてないですが、間違いないと思います」
「何故今まで黙っていた?」
そう言う父上の声が一気に低くなる。
「確信が得られなかった為、報告を保留にしていました」
「これは特令に当たる案件。そなたの判断で保留にしていい問題では無い」
父上の声が更にきつくなる。
俺は一度大きく息を吐いた。
「勇者の人となりを見て、私が大丈夫だと判断しました」
「レオーネに仇成す者ではないと?」
「はい」
「それは断言出来るのか?」
「出来ます。勇者は決してレオーネに仇成す事はない。ディルハルト・レオーネの命に賭けて誓いましょう」
そう言うと、父上は大きくため息をついた。
「分かった、まずはそなたを信じよう。で、その者との謁見は可能か?」
「分かりません。彼はアルザイルでの一件で王族……いや国王という存在に嫌悪感を抱いています。話してはみますが、もしかしたら断られるかもしれません」
「国王の要請を断るなど、不敬に当たります!」
俺がそう言った瞬間、ゲイムが身を乗り出してそう叫ぶ。
「控えろゲイム。彼はこの世界の人間ではない。この世界の決まりに彼は当てはまらない」
俺がそう言うと、ゲイムは顔を歪ませた。
「彼に話をしてみて、返事を貰えたらご連絡致します」
父上に向き直ってそう言うと、父上は『うむ』と頷いた。
「一つ、勇者の名前を教えて貰えないか」
「…フタバ。フタバ・カザシロといいます」
「……フタバか、覚えておこう」
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