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第138話

店の中に入っていくレイスに続いて、俺も恐る恐る中に入った。 中に入ると、剣やナイフ、盾とか武器が無造作に置かれている。 俺はその光景に感動した。 すごい!本物の武器屋だ! でも店の人は居ないみたいだ。 レイスは頻りに店の奥を覗き込んでる。 「もしかしたら工房の方に居るかもな」 『行ってみるか』と言ってレイスは店の奥に入っていく。 「勝手に入って大丈夫なの?」 「ここの店主は打ち始めると、終わるまで出てこないんだ。こっちから声を掛けないといつまで経っても出てこないぞ」 「そうなんだ」 納得した俺は、レイスに続いて店の奥に向かった。 店の奥には扉があって、その扉を開けると外に繋がっていた。 そこから少し離れた場所にまた入り口が見えた。 そこから微かにカーンカーンと音が聞こえてくる。 見ると奥に炉があって、その前でハンマーを打ち下ろしてる人が居た。 あの人がドワーフで、ここの鍛冶職人。 「おーい、カイジ!」 レイスが大きな声で呼び掛けると、カーンカーンという音が止んだ。 その人はこちらを見るとハンマーを置いた。 立ち上がってゆっくりとこっちに向かってきた。 俺は向かってくるその人に、思わず身構えてしまった。

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