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第140話
しばらくすると、工房の方からカイジさんが現れた。
「待たせてしまってすまねぇなぁ」
そう言いながら、カイジさんは俺たちの元にやって来た。
「剣は出来たんですか?」
「あぁ、力作が出来たぞ」
と言ってカイジさんは高らかに笑う。
豪快な人だなぁ。
「カイジ、フタバに合う武器を選んでくれないか?」
レイスがカイジさんにそう頼む。
「フタバ殿に合う武器……」
そう言うと、カイジさんが俺をじっと見てきた。
「こんな細っこい体じゃロングソードは無理だな。無難にナイフとかにしといた方がいいんじゃねぇか?」
とカイジさんは手近にあった小さめのナイフを手に取った。
………確かにヒョロイとはよく言われるけど。
「…………ロングソードくらい持てるもん」
ちょっと不貞腐れた感じで言うと、レイスとカイジさんが呆れたような顔で見てきた。
その後、レイスがため息をつく。
「じゃあ、これを持ってみろ」
そう言って差し出されたのは、レイスのロングソード。
「いいの?」
「持てるなら持ってみろ」
そう言ってレイスは少しニヤッと笑う。
その笑顔に、流石の俺もイラッとした。
レイスからロングソードを半ば奪い取る感じで受け取ると、俺はそれを構えた。
「……っ!」
持てることは持てた。
けど、数十cm上げるのがやっとで、そこからはどう頑張っても上がらなかった。
ロングソードの重みで腕がプルプルと震えてくる。
もう限界でレイスの剣を落としそうになって、それをレイスが受け止めた。
「だから言ったんだ、フタバにはロングソードは身に余る。武器っていうのは、自分に合ってなければただ邪魔なだけだ。もしこの場で敵に囲まれていたら、武器の重みで身動きが取れないフタバは格好の餌食だぞ」
レイスの言うことは理解出来る。
出来るけど、なんかすごい悔しい!
そう思って、俺はぎゅっとこぶしを握った。
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