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第142話
(レイスside)
カイジを待つ間、フタバは目を輝かせて並んでいる武器を眺めていた。
武器を眺めていたフタバが『俺も武器を持ってた方が良いのかな』と呟いた。
魔術師はパーティーでも基本は後衛だ。
それは魔法が中距離から遠距離攻撃に特化してるからだ。
故に敵に懐に飛び込まれたとき成す術を無くす。
武器を持ってれば多少は抵抗出来ると思った。
カイジに見立てを頼んだら、カイジはフタバを見てロングソードをすぐに候補から外した。
まぁ、それは俺も同感だった。
フタバにはロングソードを振るえる腕力も体力もない。
それを告げられたフタバは不服だったのか、不貞腐れたように『俺にだって持てる』と言った。
フタバは意外に負けず嫌いだ。
俺はそう思って、思わず笑ってしまった。
フタバは数種類のナイフを見た結果、投擲用のナイフを気に入ったらしくそれを買っていた。
フタバは買ったナイフをじっと見つめて何か考えてるみたいだった。
「まさかレイス殿がパーティー仲間を連れてくるとは思わなかった」
カイジがそう言いながら近付いてくる。
「成り行きではあるが、俺がフタバを放っておくことが出来なかったんだ」
「そうか。ところで、さっきからフタバ殿がナイフを見つめて動かないんだが、あれは大丈夫なのか?」
「あぁ、あれはあのナイフをどう使うか考え込んでるだけだから心配ない。その内戻ってくる」
俺がそう言うと、カイジは『そうなのか』ともう一度フタバに視線を移した。
「レイス、この後はどうするの?」
しばらく考え込んでたフタバがそう聞いてくる。
「必要な物は一通り買ったし、あとは見たいものがあればそこに行くけど?」
「じゃあ帰ろう!」
とフタバは満面の笑みで言う。
「もう良いのか?」
「うん、早く帰ってこれの練習したい」
そう言ってフタバが買ったナイフを見せてくる。
「投げる練習するのか?」
そう聞くと、フタバは『むふふ』とちょっと不気味な笑い方をする。
「ちょっと良いこと思い付いたんだ」
フタバは『早く試したい』と言って笑う。
また何を思い付いたんだか……
「分かった、今日は帰ろう」
そう言って俺は、フタバの頭を撫でた。
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