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第143話
俺たちはカイジさんに挨拶をすると、店を後にして城に戻った。
「……そういえば、ルディはどこに居るんだろう」
従者の人に預けたは良いけど、どこで預かってくれてるのかな。
「メイドの休憩室辺りじゃないか?」
そうレイスが言う。
「メイドの休憩室ってどこ?」
俺がそう聞くと、レイスからは『さあ?』と返ってきた。
それって、結局分からないのと一緒じゃないか。
そう思って、俺はため息をついた。
俺は取り敢えず、近くに居た従者にルディの事を聞いた。
その人の話では、ルディは厨房の横のティールームにメイドと一緒に居るらしい。
従者は自分が連れてくると言ったけど、俺はそれを断った。
わざわざ連れてきてもらうのも申し訳ないし、従者やメイドたちのスペースも見てみたかった。
俺たちはその従者にティールームの場所を教えてもらって向かうことにした。
厨房は一階の奥の方にあった。
一階の奥は基本的に従者やメイドたちのスペースになってる。
その分、造りがかなりシンプルだ。
それでも白を基調とした造りで、俺は嫌いじゃない。
しばらく進むといくつか部屋がある。
その一番奥の突き当たりが厨房だ。
その横って言ってたからここだよね。
俺とレイスはティールームだろう部屋の前に来ると、一度顔を見合わせた。
目が合うと、レイスが頷く。
俺はその部屋のドアをノックした。
しばらくすると、中から返事が返ってきてドアが開けられる。
出てきたのはメイドだった。
「あの、ここにルディが居るって聞いたんですけど」
とドアを開けてくれたメイドに聞くと、そのメイドは俺とレイスを見て驚いた顔をした。
「申し訳ありません。レイス様とフタバ様にわざわざご足労かけてしまうなんて。本来なら私共がルディ様をお連れしなければいけないのに」
そう言ってメイドは頭を下げる。
俺はそれに慌てた。
「いや、俺がルディを預かってくれって頼んだので」
急に頭を下げられて俺はわたわたとしてしまった。
「お願いだから頭を上げてください」
そう言うと、そのメイドはようやく頭を上げてくれた。
取り敢えず中に入れて貰って、様子を見ると部屋の中央にテーブルが置いてあって、そこに何人かのメイドが集まっていた。
その中にルディの姿を発見した。
「ルディ」
俺がルディの名前を呼ぶと、俺の存在に気付いたルディが走ってきた。
そのまま俺の腕の中にジャンプしてくる。
俺は何とか飛び込んでくるルディをキャッチした。
「ルディ、良い子にしてた?」
そう聞くと、ルディは『キュッキュッ』と鳴く。
「ルディの事、見ててくれてありがとうございました」
そうメイドたちに言うと、メイドたちは一斉に俺に向けて頭を上げてきた。
俺はその様子にまた慌ててしまった。
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