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第151話

ホットケーキを作っていると、興味津々の料理人たちが色々な質問をしてきた。 それは何なのかとか、どうしてそうやるのかとか。 俺はその質問に出来るだけ答えていた。 しばらくすると、その質問の嵐がピタッと止む。どうしたんだろうと思った瞬間、 「それは何だ?」 と突然背後にくっつかれて、俺は驚いて思わず体が跳ねた。 「っ!レイス!?」 見るとレイスが立っていた。 「どうしてここに?」 「どうしてって、フタバが部屋に居ないから探してたんだ。ルディも寂しがってたぞ?」 ……そっか、部屋を出る時ルディも寝てたからそのままにしてたんだ。 「ルディは?」 「今メイドに預かって貰ってる。で、それは何なんだ?」 「ホットケーキだよ」 俺がそう答えるとレイスは首を傾げる。 「ホットケーキ?これはケーキなのか?」 「普通のケーキとはちょっと違うけど、手軽に作れるから俺の故郷では一般的に食べられてるんだ」 「……そうなのか」 そう言ってレイスはまじまじとホットケーキを見つめる。 「レイスも食べる?」 「良いのか?フタバが食べたくて作ったんだろ?」 「焼けば良いだけだから」 レイスとそんな会話をしていると、周りに居た料理人たちの目の色が変わったような気がした。 「あ、あの…図々しいのは承知しております。ですが、我々の分も作って貰うわけにはいかないでしょうか?」 と料理長が言ってきた。 そう言われて、俺とレイスは思わず顔を見合わせた。 作るのは構わないけど、人数分焼くとなると結構な枚数焼かなきゃいけないな。 「……手伝って貰えるなら」 そう言うと、料理人たちの顔がパァと明るくなった。 早速料理長が他の人たちに指示を出す。 俺が教えた通りに生地を作って、焼くのはまだ難しいってことで俺が焼くことになった。 ただ枚数が枚数なだけに一人では捌ききれず、レイスにも手伝って貰いながら俺はひたすらホットケーキを焼き続けた。

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