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第154話

(レイスside) 俺は一人で町を歩いていた。 それは、一人になって自分の中にあるモヤモヤを解消する為だった。 フタバは前にも元の世界では一人だと言っていた。 その時は何気なしに聞いていたけど、今日一人だと聞いたときにある疑問が浮かんだ。 この世界では15で成人して家を出る者もいるけど、フタバの世界てば二十歳で成人だと聞いた。 フタバは17で、まだ成人はしていない事になる。 成人していないフタバが一人で生活しているってことは、フタバの親はどうしたんだ? もう居ないのか、それとも…… そこまで考えて、俺はため息をついた。 いくら考えても分からないな。 フタバも聞いてほしくは無さそうだったし…… 俺は今朝のフタバの少し沈んだ顔を思い出す。 話したくない事を無理に聞くことは出来ない。 ………いつかは話してくれると良いんだけどな。 しばらく町中をフラフラと歩いて、陽が真上に昇ってきた頃、帰るかと思って俺は城に向かった。 城に着くと使用人たちが出迎えてくれる。 「フタバはどうしてる?」 今日はディルとリオも公務で居ないから、フタバは一人の筈だ。 「フタバ様なら、今朝北の中庭に向かうのを見ました」 とメイドの一人が答えた。 「今もそこに居るのか?」 そう聞くと、メイドの表情が曇る。 「申し訳ありません。今朝見たきりで、その後は……」 そう言ってメイドは申し訳なさそうに頭を下げた。 北の中庭なら、多分魔法の練習をしてるんだろう。 「謝らなくていい。行ってみるから大丈夫だ」 俺がそう言うと、メイドはホッとした顔をした。 中庭に着くと、絶対に居るだろうと思っていたフタバの姿が無かった。 ……てっきり魔法の練習をしてるもんだと思ってたんだけどな。 そう思って、俺は一通りフタバの行きそうな場所を探してみたけど、フタバは見つからなかった。 俺はフタバを探すのを一時中断して、一回部屋に戻ることにした。

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