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第155話

(レイスside) 部屋に戻ると、ベッドでフタバとルディが寝ていた。 ………城中探しても見つからない訳だな。 そう思いながらそっとベッドに座ると、その気配でルディが起きてしまった。 ルディは『キュッキュッ』と鳴きながら寄ってくる。 「ルディ、フタバが起きるから静かに」 俺は唇に人差し指を当てて小声でそう言うと、ルディは声を出さずにコクコクと頷いた。 ルディは本当にこっちの言ってる事が分かるみたいだな。 俺はルディの賢さに感心しながら、ルディの頭を撫でた。 俺は眠るフタバをチラッと見た。 フタバの頬にそっと触れる。 よく寝てるな。 俺はフタバの寝顔を見て、フッと笑みが溢れた。 今朝は早く起きてたみたいだし、使用人全員のホットケーキを作ったんだ。 混ぜて焼くだけっていう単純作業ではあったけど、あれだけ作れば疲れもするか。 そんな事を考えながら何気なしにフタバの髪を弄っていると、フタバがフッと目を開けた。 「………れいす?」 「悪い、起こしたか?」 「……んーんー、だいじょーぶ」 話し方がポヤンとしてるし、目が閉じていってる。 会話は成り立っているけど、これは完全に寝惚けてるよな。 「まだ寝ててもいいぞ?」 そう言うと、フタバは『ん~』と唸りながらまた目を閉じた。 しばらくすると、寝息が聞こえてくる。 俺はその様子に、思わず笑ってしまった。

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