160 / 269

第158話

夜、俺は窓の外に見える月を眺めていた。 「まだ寝ないのか?」 月を眺めていると、レイスがそう声を掛けてくる。 「昼間に寝ちゃったからね。レイスは気にせずに寝ていいよ」 そう言うと、レイスは軽くため息を漏らす。 「明日は王宮に行くんだ、早く寝た方がいい」 「………うん」 俺はレイスの言葉に頷くと、また月に視線を向けた。 レイスが心配してくれてるのは分かる。 昼寝をしたからっていうのもあるけど、それだけじゃない。 やっぱり明日の事を考えると、眠れる気がしなかった。 「……やっぱり後悔してるのか?」 「え?」 「国王に会うと言ったこと、後悔してるんじゃないかと思って」 そう言って、レイスはじっと見てくる。 「……うーん、そういう訳じゃないんだけど」 後悔してる訳じゃない。 いつかはこうなるとは思ってたし、一度は確実に会わなきゃいけないとは思ってた。 でもここまで考えてしまうってことは、やっぱり後悔してるのかな。 「でも一度会うって言っちゃったし、今更会わないなんて出来ないよ」 そう言うと、レイスが頭を撫でてきた。 「明日は俺もディルもリオも居る。何も気にせずフタバの好きにすれば良い。何かあれば、俺たちが絶対に守ってやるから」 「……ありがとう」

ともだちにシェアしよう!