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第158話
夜、俺は窓の外に見える月を眺めていた。
「まだ寝ないのか?」
月を眺めていると、レイスがそう声を掛けてくる。
「昼間に寝ちゃったからね。レイスは気にせずに寝ていいよ」
そう言うと、レイスは軽くため息を漏らす。
「明日は王宮に行くんだ、早く寝た方がいい」
「………うん」
俺はレイスの言葉に頷くと、また月に視線を向けた。
レイスが心配してくれてるのは分かる。
昼寝をしたからっていうのもあるけど、それだけじゃない。
やっぱり明日の事を考えると、眠れる気がしなかった。
「……やっぱり後悔してるのか?」
「え?」
「国王に会うと言ったこと、後悔してるんじゃないかと思って」
そう言って、レイスはじっと見てくる。
「……うーん、そういう訳じゃないんだけど」
後悔してる訳じゃない。
いつかはこうなるとは思ってたし、一度は確実に会わなきゃいけないとは思ってた。
でもここまで考えてしまうってことは、やっぱり後悔してるのかな。
「でも一度会うって言っちゃったし、今更会わないなんて出来ないよ」
そう言うと、レイスが頭を撫でてきた。
「明日は俺もディルもリオも居る。何も気にせずフタバの好きにすれば良い。何かあれば、俺たちが絶対に守ってやるから」
「……ありがとう」
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