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第161話

俺は走る馬車の窓から見える町並みを眺めていた。 馬車が通り過ぎる度に、町の人たちが頭を下げていく。 王族の馬車だからなのかな。 でも、国民からは王族に対しての嫌悪感とかは感じられない。 少し先に小さい子どもが居て、馬車に向かって手を振ってる姿を見つけた。 その姿が微笑ましくて、思わず笑ってしまった。 「ここは良いところだね、町の人たちが皆笑顔だ」 「その笑顔を守るのも王族の仕事だからな」 そうディルが言う。 「それが俺がこの国の王様に会おうって思った理由の一つだよ」 「え?」 「国民が笑顔ってことは、この土地を納めてる人の能力が有能だってことだよ。人が笑顔になれない国なんて、後々滅びるだけだから」 俺の世界にも、過去に『独裁者』っていうのが居たけど、その殆どが暗殺だったり、クーデターだったりで破滅してるんだよね。 ……ってことをちょっと前に学校で習ったから覚えてただけなんだけど。 あの時はよく理解が出来なかったけど、今の状況になってそれがよく分かる。 「……人が笑顔になれない国は滅びるだけ、か」 そうディルが呟く。 それを聞いて、俺はハッとした。 しまった!ここに居る人たち皆、国営に携わってる人たちだ! 「ごめん!なんの関係もない俺がすごい生意気なこと言って」 「…いや、フタバの言う通りかもしれない。この世界じゃ、国民に倒される王なんて珍しくないからな」 ディルはそう言って窓の外に視線を向けると、その後黙ってしまった。 マズったな……いくら授業で習ったことを思い出したからって、今言うことじゃなかった。 なんかすごく気まずくなっちゃった……

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