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第162話

しばらく馬車が走ると、大きな門の前に着いた。 一度馬車が止まって、門番の人と御者の人が少し会話をする。 その後すぐに門が開いた。 そのまま馬車で中に入っていく。 すごいなぁ、庭?がすごい広い。 離宮もすごく広かったけど、やっぱり王宮は桁違いだ。 そう思いながら、俺は窓の外を眺めていた。 そこからちょっと行ったことろで馬車が止まって、扉が開けられた。 まずはリオさんが馬車から下りる。 その後にディル、レイスと続いた。 皆が下りて俺も下りようとする。 「足元気を付けて」 そう言ってレイスが手を差し伸べた。 「ありがとう」 俺はその手を取って馬車を下りた。 馬車を下りると、目の前に大きくて真っ白な城がそびえ建っていた。 ………遠くからは見てたけど、近くで見ると更にすごい。 俺は王宮の壮大さに圧倒された。 「初代国王が建てた王宮で、このレオーネで一番古い建物だ」 俺が王宮に圧倒されてると、後ろからディルがそう言う。 ディルを見ると、ディルはニコッと笑ってくれた。 さっきまで気まずかったけど、それが少し無くなったかな? 「お待ちしておりました」 そんな事を考えていると、城の方からそう言いながら誰か出てきた。 執事服を着てるから、多分この王宮の使用人なんだろう。 「陛下がお待ちです。こちらへ」 そう言ってその人が行く先を手で示した。 俺たちは執事の後を歩く。 最初は王宮の内装に圧倒されたけど、王様に近付いてると思うと段々緊張してきた。 しばらく王宮内を歩くと、執事が一つの部屋の前で止まった。 執事は『少々お待ち下さい』と言ってその部屋に入っていった。 俺は執事が入っていった扉を見る。 その扉は装飾してえるものの、豪華とは言えない。 ………王様に会うって言うから、てっきり謁見の間とかでかと思ったけど、ここは違うよね? アルザイルで初めて王様に会ったときに通された謁見の間は大きな扉に豪華な装飾が施されてた。 謁見の間は他国からの使者も来たりするから、豪華に作られてるんだと思う。 でもこの部屋の扉は装飾は控えめで、かなりシンプルだった。

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