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第163話

俺たちを案内してくれた執事の人が部屋に入ってしばらく、その人が出てきた。 「お待たせ致しました。どうぞお入り下さい」 そう言って扉を開けて、部屋の中へ手を示した。 それに従って、ディルが一番に入っていった。 「ディルハルト・レオーネ、参りました」 そう言ってディルが部屋に入ってすぐ、中に居る人に頭を下げた。 その次にリオさんが中に入る。 「リオ・オベーク、参りました」 そう言ってリオさんがディルと同じ様に頭を下げた。 ……ていうか、リオさんのフルネーム初めて知ったかも。 って、そんな事じゃなくて!俺もあんな風に名乗った方が良いの!? そんな事を考えていると、レイスにポンッと背中を叩かれた。 「大丈夫、俺が一緒に入るから」 そう言ってレイスが笑って手を差し伸べてきた。 俺はその笑顔を見てホッと息を吐いて、レイスの手を取った。 レイスに手を引かれて一緒に部屋に入る。 「お久しぶりです、レオーネ国王。レイス・アルザイルです」 そう言ってレイスが胸に手を当てて頭を下げる。 「彼はフタバ・カザシロです」 レイスに紹介されて、俺は慌てて頭を下げた。 顔を上げると同時に、チラッと奥に居る人を見る。 そこには二人居て、一人は椅子に座っていてもう一人はその横に立っていた。 ………あれがディルのお父さん。 ディルと同じ金髪にスカイブルーの瞳。 ディルに似てる、ディルを少し大人にした感じかな。 「そちらに」 そう言って王様が立ち上がりながら側にあるソファを示す。 俺はレイスと手を引かれて、ディルとリオさんに迎えられてソファに座った。 俺の右側にレイスが、左側にディルが座った。 リオさんはソファの後ろに立っていた。 俺たちの向かい側に王様が座る。 その後ろにもう一人が立った。 あの後ろの人はレオーネの宰相かな? そう思ってその人を見ていると、その人と目が合った。 その瞬間、俺は思わず目を逸らしてしまった。

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