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第165話
富や名声は要らないと答えたら、王様も宰相の人も驚いてた。
でも、本当に要らないんだよね。
この世界では富や名声を得ることは名誉あることらしいけど、俺の世界では必要のないものだったから。
確かに生活していくのにお金は必要だけど、使いきれない程のお金は要らない。
それに富や名声を得たとしても、後々面倒くさいことになると思う。
王様はその後は俺の世界の事を聞いてきた。
俺は出来る限り、俺の世界の事を王様に話した。
……なんかちょっと意外。
俺はてっきりレオーネの為に動けとか言われるのかと思ってたのに。
「……ふむ、フタバの世界は我らの理解の範囲外なのだな」
「この世界には無いものが多いですからね」
この世界の人には色々と理解出来ないものが多いと思う。
特に科学は無理かな。
魔法に応用すれば、相乗効果が見込めるのに。
そんな事を考えていると、宰相の人が王様に何か耳打ちしていた。
「ふむ、そろそろ時間切れのようだ。フタバ、今回は面白い話が聞けた、また話を聞かせてはくれぬか?」
そう言われて、俺は皆を見た。
目が合うと、皆が微笑む。
……これは自分で決めろってことかな?
「………話くらいなら」
「その時を楽しみにしている」
そう言って王様はフッと笑った。
俺たちは王様に挨拶をして部屋を出ようとした。
「あぁ、ディルハルトは残ってくれまいか。少々話がある」
そう言う王様に俺たちは顔を見合わせた。
俺たちはディルだけ部屋に残して馬車で待つことにした。
また王宮の長い廊下を歩く。
………なんだろう、さっきから頭が少しボーっとする。
王様との謁見が終わって気が抜けちゃったのかな。
馬車に乗り込むと、俺は座席に座って息を吐いた。
……さっきからなんか調子悪いな。
「フタバ?どうした、気分でも悪いのか?」
そう言ってレイスが覗き込んでくる。
どうやら調子が悪いのを気付かれたみたいだ。
「…大丈夫、ちょっと疲れちゃっただけ」
「国王に会って気が張ってたんだろう。宮に戻ったらゆっくり休め」
そう言ってレイスが俺の頭に手を置いた。
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