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第166話
(ディルside)
「異世界の勇者とは興味深いものだな」
皆が部屋を出ていった後、父上がそう呟く。
父上にフタバを会わせたのは、半分は賭けだった。
父上がフタバの事を気に入れば大きな後ろ楯になる、そう思った。
多分この先、フタバにとってはこの後ろ楯が必要になると思う。
それは俺では力不足だ、父上ならフタバの力になってくれると思う。
「しかし、どこか危うさも感じる」
「それは私も感じてます」
どこがと言われると困るが、どことなく感じる危うさ。
フタバの世間知らずもそれに拍車を掛けてる。
「フタバに関しては、こちらは何も干渉はしない。そなたの言う『人となり』も確認出来た。これからも自由に動くが良い」
「ありがとうございます」
そう言って俺は父上に頭を下げた。
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(レオーネside)
「本当によろしかったのですか?勇者をレオーネに引き込むチャンスだったのでは?」
ディルハルトが部屋出ていってからすぐ、ゲイムがそう言う。
「フタバはこの世界そのものに属さぬ存在。今我らがフタバを取り込もうとすれば、フタバは完全に我らの前から姿を消すぞ。それに勇者の実力は計り知れない、みすみすレオーネを危険に晒すわけにはいかない」
ディルハルトの言う、フタバが王族に嫌悪感を持っているというのは何となく分かった。
フタバはこの部屋に入ってから一度も警戒心を解かなかった。
にこやかに話してはいたが、常にこちら側の言動を見ていた。
あれは我らの手に負える存在ではない。
ならば今は、フタバを自由にさせておく方が得策だ。
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