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第167話

(ディルside) 部屋から出ると、俺は息を吐いた。 何とかなったか…… 父上も何か企んではいるみたいだけど、取り敢えず干渉はしないと言っていた。 父上がフタバをレオーネに取り込もうとすれば、フタバは抵抗しただろう。 フタバが無闇に魔法を使うとは思わないけど、フタバの実力からして下手すれば王宮が消し飛ぶ。 そんな事を考えながら馬車に戻ると皆が既に馬車に乗り込んで待っていた。 俺に気付いたリオが急かさず馬車から下りて扉を開ける。 「待たせてすまない」 「いえ、大丈夫でしたか?」 リオは俺の考えていた事を分かっている。 分かっているからこそ、父上がどう対応するのか気になってるみたいだ。 「今後、父上がどう行動するかは分からないが、取り敢えず自由に動く事は許してくれた」 「…そうですか」 そう言ってリオはホッと息を吐いた。 馬車に乗り込むと、少しくったりしているフタバに気が付いた。 「どうしたフタバ、気分でも悪いのか?」 そう聞くと、フタバは首を振る。 「大丈夫だよ、ちょっと疲れただけだから」 フタバはそう言って笑うけど、その笑顔が少し弱々しく見えた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ (フタバside) ディルが戻ってきて、馬車が離宮に向けて出発した。 ………なんだろう。 さっきから体の中を何かがグルグル回ってて気持ち悪い。 急に動きだして、膨れ上がる感じ。 かと思ったら、スッと収まる。 今朝までは何ともなかったのに…… 俺がその気持ち悪さに耐えていると、離宮に到着した。 離宮に到着すると、リオさんが急かさず下りて馬車の扉を開けた。 それに続いてディルが下りる。 その次にレイス、続いて俺も馬車を下りようとした。 先に下りたレイスが手を差し伸べる。 その手を取ろうとした瞬間、グラッと視界が揺れた。 体の中で動き回ってた何かがいきなり膨れ上がって飲み込まれるような感じ。 俺が覚えているのはそこまでだった。

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