ギルドでの報告を済ませた後、ディルが用意してくれた馬車に乗り込む。 今回の馬車は王族専用の馬車じゃない。 紋章も入ってない、前に乗った馬車よりも少し小さい馬車。 前より小さい馬車っていっても、広さは十分だった。 ここから約３日は馬車での移動になる。 ３日後にはダンジョンだ。 楽しみだなぁ。早く着かないかな。 「フタバさん、これから向かうダンジョンについて少し説明いたします」 馬車に乗ってしばらく、リオさんがそう切り出した。 「ダンジョンの説明？」 「はい」 そう言ってリオさんにニコッと笑った。 「これから私たちが向かうダンジョンは『ミラのダンジョン』です」 「…ミラのダンジョン？」 『ミラ』っていうのは多分地名だよね。 「ミラはレオーネ領の端に位置している小さな町です。我らが行くダンジョンはミラは町から歩いて半日くらいの場所にあります」 「徒歩で半日？そんな近くにあるんですか？」 「そうですね。かなり近いですが、ミラはダンジョンに向かう冒険者たちの拠点となってる町です。 次にダンジョンですが、ミラのダンジョンは50階層からなる中級ダンジョンです。」 50階層か…… 50階層で中級ってことは、出てくる魔物が強いのかな。 「ミラのダンジョンはまだ完全攻略されていません。攻略されているのは１/３ってところですね」 「ボスは？」 「え？」 「ボスは最下層にしか出てこないんですか？」 そう聞くと、何故かリオさんがクスッと笑った。 「相変わらず、フタバさんはよくご存知ですね。報告では10階層でボスが確認されたそうです。恐らく10階層ごとにボスが出現するだろうと予想されています」 攻略率が１/３だと20階層までは届いてないからボスが出現するか分からないのか…… でも、10階層ごとにボスが出現するのは、まず間違いないと思う。 下層に行くにつれて、ボスも強くなる。 最下層で出てくるボスが何なのか気になるけど、今回は最下層まで行くのは無理かな。