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第181話

次から次に魔物たちが走り去っていく。 ……どうしてこんな大量の魔物が一斉に? まるで何かから逃げるような…… そこまで考えて、俺はハッとした。 無魔法 【探索(サーチ)】 俺は『探索』を発動させると、出来るだけ範囲を広げた。 向かってきた魔物はどれも下位の魔物だ。 それが一斉に動く理由は、上位の魔物の襲来。 それなら大量の魔物が一斉に動いたのも、その魔物たちが俺たちに目もくれず走り去っていったのも全てに説明がつく。 ………俺の『探索』で把握出来る範囲には居ない、か。 俺の把握出来る範囲に居ないのか、それとも元々居なくて魔物たちがその気配を察知して逃げてるだけか…… この魔物たちの大進行ももう少しで終わりそうだし、取り敢えず今のところ俺たちに被害が及ぶ事は無いかな。 そう思って、俺は息を吐いた。 しばらくすると、俺の見立て通り魔物たちが捌けていった。 「……本当に何だったんだ?」 そうディルが呟く。 「私にも分かりません。フタバさん、何か心当たりはありますか?」 「えっ、俺!?」 そうリオさんに振られて、俺は思わず慌ててしまった。 まさか俺に話を振られるとは思わなかったから聞き流してたよ。 「フタバさん、さっき『探索』を使いましたよね?何か心当たりがあったんじゃないですか?」 とリオさんに真剣な表情で聞かれて、俺は一瞬引いてしまう。 どうやら、魔力感知で俺が魔法を使ったことが分かったみたい。 「えっと、最初はスタンピードかと思ったけど、この近くにはダンジョンは無いって聞いたし、ミラのダンジョンは方向が違ってた。 それに走ってくる魔物たちがホーンラビットやゴブリンなんかの下級の魔物ばかりだったから、もしかしたら上級の魔物に追われてるんじゃないかと思って」 そう言うと、皆が『なるほど』と頷いた。 「で、その魔物は居たのか?」 とレイスが聞いてきた。 「ううん、俺が感知出来る範囲にはそれらしい魔物は居なかったよ」 俺がそう言うと、ディルが何か考え出した。 「今のところは危険は無いんだな?」 「うん、この辺りに危険な魔物は居ないよ」 「そうか、ならこのまま先に進むか」 「この事はミラに着いたらギルドに報告しておきます」 リオさんがそう言う。 「頼む」 とディルが言うと、リオさんは胸に手を当てて軽く頭を下げた。 騒ぎが落ち着いたところで馬車を点検をした後、俺たちは気を取り直して再びミラの町を目指した。

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