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第182話

俺たちは、もう一晩野宿をして次の日の夕方にミラの町に到着した。 ミラの町に着いたことで、馬車と従者の人とはミラの町の手前で別れた。 馬車の荷物を下ろして、馬車が見えなくなったのを確認して俺はこっそりと荷物を無限収納に入れた。 ミラの町に入るために関所を通る。 ここでは荷物チェック(商人だけ)、身元確認、罪状の有無、入国の目的、入国税の支払いなどが全て行われている。 その為、入国までにはかなりの時間が掛かる。 冒険者はカードを見せるだけでこれらが免除される。 その為、冒険者は入口が別に設けられていた。 俺も冒険者用の入口でカードを提示する。 係の人がカードを確認して色々チェックしている。 別に疚しい事はないのに、こういうのって何故か緊張する。 係の人がチェックし終えてカードを返してくれる。 俺は無事に関所を通れた事でホッと息を吐いた。 関所をくぐると、ミラの町並みが広がっていた。 「……うわぁ」 俺はその町並みを見て、思わず声を出してしまった。 ミラの町は王都みたいにレンガ作りの建物は少なくて、木組みの建物が多い。 「……なんか食堂?みたいな店が多いね」 周りを見渡すと、居酒屋みたいな店が多い。 「ここは冒険者が多く立ち寄るからな、だから冒険者向けの店が多いんだよ」 とディルが教えてくれた。 俺は『へぇ~』と、もう一度周りに目を向けた。 「ほら、行くぞ」 物珍しくてキョロキョロしてた俺に、レイスがそう言って背中を押す。 「この後はどうするの?」 「これから宿屋に向かいます」 とリオさんが答えてくれた。 「その後ギルドに行くんですか?」 「いえ、もう遅いのでギルドに行くのは明日ですね」 「…………そっか」 俺はリオさんの言葉に少し肩を落とした。 本当は今日の午前中にはミラに着く予定だったのが、あの魔物の大行進のせいで大幅に遅れてしまった。 ミラに着いた時にはもう夕方で、入国とか色々していたらすっかり日が暮れてしまった。 「そうがっかりするな。明日はギルドに行って、その後は待ちに待ったダンジョンだ」 肩を落としてた俺に、レイスがそう言って俺の頭に手を置く。 「今日はゆっくり休んで、明日に備えるぞ」 そう言ってレイスをニコッと笑った。 そうだよね、長旅で疲れたままじゃダメだよね。 よしっ、今日はしっかり寝て、ちゃんと疲れをとって、明日のダンジョン攻略は万全な状態にしなきゃ! そう思って、俺はグッとこぶしを握った。

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