185 / 269
第183話
宿屋を決めて手続きを済ませると、俺たちは夕食を取るために宿屋の向かいにあった店に行った。
中に入ると冒険者向けの店だけあって客層は結構厳つい人が多い。
店に入った瞬間、何故か冒険者たちの視線が俺たちに向いて、俺は思わずレイスの後ろに隠れてしまった。
レイスに『大丈夫』と言われて席まで案内される。
周りにチラッと視線を向けてみると、冒険者たちはすでに俺たちの事は見てなかった。
どうやら誰が入ってきたかと注目を浴びただけだったみたいだ。
そう思って、俺はホッと息を吐いた。
席に着くと店の人が注文を聞きに来る。
聞かれたのは魚料理か肉料理と飲み物だけ。
どうやらこの店はメニューは無くて、魚と肉料理の二種類だけらしい。
飲み物はお酒がメインで、これは何種類かあるみたいだ。
俺は魚料理でお酒は飲めないからノンアルコールの飲み物を頼んだ。
レイスたちは肉料理で、ワインを頼んでいた。
「フタバは酒が飲めないのか?」
料理を待つ間、レイスがそう聞いてくる。
「というよりは飲んだ事無くて、飲めるかどうか分からないんだよね」
そこまでお酒は興味無いし、飲めなくてもいいかと思ってたし。
「フタバも成人しているのだろ?試してみても良いんじゃないか?」
とディルが言う。
「……あ、そうか、こっちの世界では15で成人だったっけ?」
「フタバの世界では違うのか?」
とレイスが首を傾げる。
「俺の世界では二十歳が成人なんだよね。だから俺はまだ成人前なんだよ」
「二十歳とは、また随分と遅いな」
レイスがボソッと呟く。
ディルとリオさんも驚いた表情をしていた。
ともだちにシェアしよう!