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第183話

宿屋を決めて手続きを済ませると、俺たちは夕食を取るために宿屋の向かいにあった店に行った。 中に入ると冒険者向けの店だけあって客層は結構厳つい人が多い。 店に入った瞬間、何故か冒険者たちの視線が俺たちに向いて、俺は思わずレイスの後ろに隠れてしまった。 レイスに『大丈夫』と言われて席まで案内される。 周りにチラッと視線を向けてみると、冒険者たちはすでに俺たちの事は見てなかった。 どうやら誰が入ってきたかと注目を浴びただけだったみたいだ。 そう思って、俺はホッと息を吐いた。 席に着くと店の人が注文を聞きに来る。 聞かれたのは魚料理か肉料理と飲み物だけ。 どうやらこの店はメニューは無くて、魚と肉料理の二種類だけらしい。 飲み物はお酒がメインで、これは何種類かあるみたいだ。 俺は魚料理でお酒は飲めないからノンアルコールの飲み物を頼んだ。 レイスたちは肉料理で、ワインを頼んでいた。 「フタバは酒が飲めないのか?」 料理を待つ間、レイスがそう聞いてくる。 「というよりは飲んだ事無くて、飲めるかどうか分からないんだよね」 そこまでお酒は興味無いし、飲めなくてもいいかと思ってたし。 「フタバも成人しているのだろ?試してみても良いんじゃないか?」 とディルが言う。 「……あ、そうか、こっちの世界では15で成人だったっけ?」 「フタバの世界では違うのか?」 とレイスが首を傾げる。 「俺の世界では二十歳が成人なんだよね。だから俺はまだ成人前なんだよ」 「二十歳とは、また随分と遅いな」 レイスがボソッと呟く。 ディルとリオさんも驚いた表情をしていた。

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