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第184話

皆で話してると料理が運ばれてきた。 俺が頼んだ魚料理は大きめの魚が素揚げされてて、その上にソースがかかってる。 香ばしい香りとソースの香りが合わさって美味しそう。 レイスたちが頼んだ肉料理はまんまステーキだ。 どちらの料理にもパンが付いてくるみたいだ。 レイスたちが頼んだ肉料理が何の肉なのか気になるけど、ここは聞かないでおこう。 料理を一口食べると、ソースのスパイシーな味が広がる。 うん、美味しい。 俺が料理を食べてると、ディルが飲んでみるかとワインを手渡してきた。 俺は好奇心に負けて、一口ワインを飲んでみた。 でもアルコール度数が高いみたいで、一口で噎せてしまった。 その様子をディルはクスクスと笑っている。 笑われたことでムスッとしてると、更に笑われた。 ディルもレイスも平気でワインを飲む。 よくあんなの飲めるなって感心してしまう。 やっぱり慣れってやつなのかな。 夕食を食べ終えて宿屋に戻った。 部屋は4人一部屋。4人部屋だけあって、かなり広い。 部屋に入るなり、レイスに『早く寝ろよ』と言われる。 明日の事を考えると、俺もそうした方が良いと思って素直に頷いた。 明日に備えて早く寝る。 そう意気込んでみたものの、やっぱりダンジョンが楽しみすぎて寝れなかった。 それにミラまでの移動で、昼間に寝てしまうことが多くて、完全に昼夜逆転してしまっている。 ベッドに入ってみたものの、やっぱり寝れなかった俺は、無限収納を開いて中身のチェックをしていた。 食材は傷まないこともあって、これでもかってくらい詰め込んだ。 ポーションもMP・HPのどっちも大量なある。 こういう時回復魔法が使えれば良いんだけど、俺もリオさんも聖魔法は使えないから仕方ない。 明日の事を考えながら無限収納の中を見てると段々と楽しくなってきた。 皆を起こさないように静かにしてたけど、楽しくなって気付かない内に鼻歌混じりになっていた。 「………それは何の歌なんだ?」 「っ!?」 突然声を掛けられて驚いた俺は、声を出しそうになって慌てて口を押さえた。 見るとレイスが立っていて、不思議そうに見ていた。 「…びっくりしたぁ、レイス起きてたの?」 ディルとリオさんが寝てるから小声で話す。 「起きてたっていうより、起きたって言った方が正解だな」 「…ごめん、俺うるさかった?」 「いや、気にはならない程度だ。でもやけに楽しそうだし、フタバの歌ってた歌が聞いたことのない曲調だったから気になった」 『で、何の歌なんだ?』とレイスは再度聞いてくる。 俺が歌ってたのは、この世界に来る前にハマってたアニメの主題歌。 ただでさえ鼻歌を聞かれて恥ずかしいのに、それがアニソンだった事がその恥ずかしさに拍車を掛けた。 アニメの主題歌って言ってもレイスは分からないだろうけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。 そう思って、俺は顔を押さえた。 「………お願い、その事は忘れて」 俺がそう呟くと、レイスは首を傾げた。

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