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第189話
「うわぁ~!ここがダンジョン?」
ミラの町を出てしばらく、俺たちはようやくダンジョンにたどり着いた。
俺たちの目の前には、ダンジョンの入口になっている洞窟があった。
ここは洞窟タイプのダンジョンなんだ。
どんな魔物が居るのかな。
「フタバさん、これからダンジョンに入りますが、けして私たちの前には出ないで下さい」
俺がそんな事を考えながらダンジョンを眺めているとリオさんがそう言う。
「ダンジョンには魔物の他にトラップも多数存在します」
トラップか……
どんなのがあるのかなぁ。定番は落とし穴とかだけど………
「中には転移トラップもあるので気を付けて……」
転移トラップかぁ。
知らない場所に飛ばされるのは困るけど、一度引っ掛かってみたい。
「って、フタバさん!ちゃんと聞いていますか!」
突然叫ぶリオさんに、俺は思わず体が跳ねた。
「………えっと」
聞いてたような聞いてなかったような………
言葉に詰まっていると、リオさんがニッコリと笑う。
「フタバさん、大事な事なのでちゃんと聞いててくださいね?」
…………笑顔なのに、すごく怖い。
「……すいませんでした」
そう言って俺が頭を深々と下げると、リオさんはため息をついた。
「まぁ良いです。取り敢えず、私たちの前に出ない事は約束してください」
「はいっ!」
と元気よく返事をして敬礼してみる。
そうするとリオさんは少し呆れたように笑った。
「あぁでも、魔物が出てきたら遠慮なくやっちゃってください」
そう言って、リオさんがまた黒い笑顔を見せた。
「……はい」
リオさんの言った『やっちゃってください』って、やっぱりそういう意味だよね…………
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