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第191話
一通り説明を受けて(説教されて)『では行きましょう』とリオさんが言う。
俺はドキドキしながらダンジョンの入口をくぐった。
ダンジョンの中は石畳になっていて、壁も同じような石畳になっている。天井はかなり高い。
ダンジョンは魔力で出来ていて、中の広さはその魔力量で決まる。
魔力量が多ければ多い程、巨大なダンジョンが出来て強い魔物が出てくる。
ここは中級って言ってたから、下層に行くにつれてそれなりに強い魔物が出てくると思う。
俺はダンジョンに入るとリオさんに言われた通り【探索】を発動させた。
魔物もダンジョンの魔物によって生み出されるからいつ出てくるか分からない。
【探索】で周囲を警戒した方が良いと入る前にリオさんに言われた。
………今のところ魔物らしい気配は引っ掛からないな。
そう思って、俺は少しだけ肩を落とした。
俺はリオさんに言われた通り、リオさんの後ろを歩く。
俺の後ろにはレイスとディルが着いてきていた。
しばらく進むと、リオさんが不自然に石畳を避けて歩く。
見ると、床の石畳が微かに盛り上がっている。
リオさんが少し離れて歩く壁にもほんの少しだけ隙間があったり、いびつな石畳の中に真四角の石があったり。
………意外に分かりやすいんだな。
注意してないと見逃してしまうけど、気付いてしまうといかにもトラップがありますって言ってるような仕掛けが多い。
分かりやすいんだけど、常に周囲を気にするのは俺にはちょっと無理かな。
少しでも気を抜くとすぐに引っ掛かってしまいそうだ。
それを瞬時に見つけるリオさんはやっぱり凄いな。
リオさんも【探索】を使ってると思うから、それで見つけてるのかな?
俺の【探索】は魔物は分かってもトラップは分からないからなぁ。
………でも、ここまで仕掛けが分かりやすいとどんなトラップが仕掛けられてるのか気になるな。
そう思って、俺はトラップの仕掛けをじっと見つめた。
………ちょっとだけなら。
俺は無意識なその仕掛けに手を伸ばした。
後少しで触れるところでガシッと手を掴まれる。
驚いて見ると、リオさんがニッコリと笑っていた。
「トラップには触れないでくださいって言いましたよね?」
そう言って笑うリオさんの後ろに黒い影が見えた。
「……………ご、ごめんなさい」
『気を付けてください』とリオさんに怒られて俺が気を落として、ふと後ろを見るとレイスとディルがプルプルと体を震わせて笑いを堪えていた。
「………何笑ってるの?」
「…ふっ……悪い、あまりにも予想通りの反応をするから……」
とレイスが笑いを堪えながら言う。
ディルに至っては後ろを向いて肩を震わせていた。
「そんなに笑うことないじゃん!だって仕方ないでしょ、どんなトラップなのか気になったんだから!」
そう言って俺がプウッと頬を膨らませると、ついにレイスとディルは吹き出した。
頬を膨らませて怒る俺と爆笑している二人を、リオさんが呆れて見ている事に俺たちは気付かなかった。
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