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第192話
若干リオさんに呆れられつつも気を取り直して先に進む。
その先もいくつかトラップがあったけど、リオさんに怒られるから触るのは我慢してる。
はっきり言って気になる。すっごい気になる。
気になるけど、多分その後の方が怖いからやらない。
しばらく歩いていると【探索】に何か引っ掛かった。
リオさんを見るとコクッと頷く。
「前方の角から魔物が来ます。気を付けてください」
とリオさんが注意を促すけど、ここはまだ1階層。
出てくる魔物も小物でレイスもディルも前方に意識は向けるものの、さほど警戒はしてなかった。
なんの魔物かな。
数は数匹いるみたいだけど。
俺は俺で、ダンジョンの初魔物にテンションが上がっていた。
だんだん近付いて来るのは【探索】で分かってる。
俺はドキドキしながら角から出てくる魔物を待った。
「………よりによってこいつか」
出てきた魔物を見てディルが顔をしかめる。
そんなディルとは逆に、俺は歓喜に打ち拉がれていた。
あの丸くてプルプルとしたボディは、まさしくスライム!!
異世界系の話で出てこない作品は無いと言っても過言ではない定番中の定番!!
あぁ~ようやくスライムに会えた。
居るとは思ってたけど今まで会う機会が無かったんだよ~。
見た目的にプルプルだけど、やっぱり触ってもプルプルなのかな。
そう思って俺はドキドキしながらスライムに手を伸ばした。
でもやっぱり寸でのところで止められた。
またリオさんかなと思って見てみると今度はレイスだった。
「そいつに触ると溶かされるぞ」
そう言ってレイスは俺の手を掴む。
「あ、やっぱり溶かしてくるんだ」
「………知ってたのか?」
「溶かすのはスライムの専売特許だからね」
「せんば…?何かよく分からないが、溶かされるって分かっててよく触ろうとしたな」
そう言ってレイスが若干引いた目で見てくる。
「何言ってんの!?スライムだよ!!触るでしょ普通!」
「いや、お前が何言ってるんだ!?魔物に触ろうとするなんて……」
「おい、二人とも何してるんだ!さっさと片付けるぞ」
レイスと言い争ってると既に剣を構えて対峙しているディルがそう叫んだ。
レイスは慌ててディルの元に走っていくと『悪い』と言って剣を構えた。
スライムは全部で7匹。
スライムは最も弱い魔物って言われてるから、この分だと瞬殺かな。
………って、あれ?ディルもレイスも苦戦してる?
見ているとディルもレイスもスライム相手に苦戦していた。
二人の斬撃は当たってるけどそれが全部往なされてるみたいだった。
俺はしばらく皆の戦う様子を眺めていた。
スライムは打撃には強いけど斬撃には弱い筈。この世界のスライムは斬撃にも強いのかな。
俺はそこでハッとした。
もしかしてこれが有効かも。
そう思って、俺は投擲用のナイフに魔力を宿すとスライムの一点を目掛けて飛ばした。
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