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第195話
ちょっと先まで行くのに、動けない俺は毎度の如くレイスに抱えられて移動した。
「……お手数お掛けします」
「気にするな、もう慣れた」
そう言ってクスクスと笑うレイスに、俺は何も言えなかった。
リオさんの言っていた場所に到着するとちょうど良い石の上に下ろされた。
俺はリオさんに言われて無限収納から野営の道具を取り出した。
レイスとディルとリオさんがテキパキと準備をしていく。
俺も手伝うって言ったらリオさんに『邪魔になるので大人しくしててください』と言われた。
何か俺の扱い酷くない?
手持ちぶさただった俺は、ステータスを確認する事にした。
【ステータスオープン】
唱えると、目の前にステータス画面が現れた。
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フタバ・カザシロ Lv62
年齢 17歳
職業 賢者・テイマー
保有魔法
火魔法 Lv15 風魔法 Lv17 水魔法 Lv13
雷魔法 Lv17 土魔法 Lv11 光魔法 Lv14
闇魔法 Lv12 無魔法 Lv13 氷魔法 Lv13
混合魔法 Lv12
保有スキル
無限収納(238)
魔法耐性
魔力操作
投擲
状態:過労
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あ、またレベルが上がった。
俺もレイスたちほどでは無いけど魔物を倒したし、戦闘に参加するだけでも経験値が貰えるのかな。
………って、また過労状態になってるし。
俺は小さくため息をついてステータスを閉じると、野営の準備をしている皆に目を向けた。
レイスはテントの準備、ディルは食事の準備、リオさんは魔物が来ないように結界を張っていた。
……ていうか、皆俺より動いてる筈なのに疲れないのかな?
そんな事を考えながら、俺は皆を眺めていた。
「そういえばリオ、今どれくらいだ?」
ディルがリオさんにそう訊ねる。
「そうですね、ダンジョンに入ったのが昼くらいだったので夕方ってところでしょうか」
リオさんがディルの質問に答える。
一瞬何を言ってるんだろうと思ったけど、どうやら時間の事を聞いてたみたいだ。
この世界には時間の感覚がない。
いやあるんだけど、かなりアバウトだ。
この世界の人たちは太陽の動きを見て時間を測る。
陽が出れば朝、真上にきたら昼、陽が沈めば夜って感じ。
「今7時すぎだから、正確には夜だよ」
俺が腕時計を見ながら言うと、全員が俺に注目した。
「……ずっと気になってたんだが、その腕に着けてる物は何なんだ?」
とレイスが聞いてくる。
「これ?これは時計だよ」
「時計?時計ってなんだ?」
レイスの質問に答えると今度はディルがそう聞いてくる。
「えっと、俺の世界の時間を刻む機械かな」
……あ、機械って通じるのかな?
そう思って皆を見ると、明らかに理解出来てないみたいだった。
「俺の世界では時間が正確に決められてるんだ。一日が24時間、1時間が60分、1分が60秒ってね」
俺は腕時計を見せながら時間の説明をする。
いつの間にか俺の周りに集まってた皆が『ふんふん』と相づちを打つ。
「で、これはその時間を教えてくれる物だよ。俺の世界では時間っていうのは全国共通だから、どの国に行ってもこれだけは変わらないんだ」
「………時を刻む物があるとは……フタバさんの世界には不思議な物が沢山あるのですね」
とリオさんがそう言って腕時計をまじまじと眺めていた。
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