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第197話
(レイスside)
ディルと二人で野営の準備を進める。
リオとフタバはあの時計というものについて話していた。
話すというよりリオがフタバを質問責めにしてフタバがタジタジになっていた。
「リオがあんなに興奮してるのは珍しいな」
俺は目をキラキラさせてフタバを質問責めにしているリオを見て苦笑を漏らす。
「リオの探求心は半端ないからな」
とディルも苦笑を漏らしていた。
そろそろフタバを助けてやるか。
そう思って、俺は小さく息を吐いた。
野営の準備も殆ど終えて食事も出来上がったところで、俺は二人に声を掛けた。
俺が声を掛けると、リオは仕方ないとばかりに息を吐く。
その後ろでフタバがあからさまにホッとしていて、俺は思わず笑ってしまった。
でもリオは食事をした後にまた話をする気満々だけどな。
その後リオに支えられてきたフタバを受けとると、そのまま椅子に座らせた。
夕食用に作った料理を並べていくと、フタバが驚いた顔をした。
「……野営でこんな豪華な料理が出来るんだね」
とボソッと呟く。
「豪華な食事が出来るのはフタバのお陰だな」
そう言うと、フタバはきょとんとする。
「俺?」
「フタバが食材とか色々と無限収納に入れてくれてるから助かる」
俺がそう言うと、フタバは照れたように『へへっ』と笑った。
皆で色々会話をしながら食事をしていると、突然フタバの頭がグラッと揺れた。
俺は椅子から落ちて倒れそうになるフタバを慌てて支えた。
突然倒れたフタバにディルもリオも慌てて駆け寄ってきた。
リオがフタバの様子を見る。
「………寝てますね」
そうリオが呟く。
「………は?」
俺は一瞬耳を疑った。
「……フタバは寝てるのか?」
とディルも信じられないみたいで聞き返す。
「はい、寝てます」
そうリオが答えるとしばらく沈黙が流れた。
『ふっ』
誰からともなく吹き出す声が聞こえた。
それに釣られて、俺たちは全員が吹き出してしまった。
「…くっ…こんな、見事な寝落ち……っ……初めて見た」
ディルは笑い混じりにそう言う。
「今日は随分とはしゃいでましたからね。魔物との戦闘もありましたし、疲れたのでしょう」
とリオは冷静を装っているけど、口元がニヤついている。
俺も一頻り笑って、息を吐いた。
「取り敢えず、フタバを寝かせてくる」
そう言って眠っているフタバを抱えると、テントの中まで運んだ。
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