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第201話

(レイスside) くそっ!!あと少しでフタバに手が届いたのに! そう思って、俺はガンッと壁を殴る。 フタバどこに飛ばされたんだ!?早く探さないと! 俺はフタバを探すために歩き始めた。 その瞬間、腕を掴まれて止められた。 「どこに行くつもりだ?」 ディルが俺の腕を掴んでそう言う。 「フタバを探しに行く」 「どこに居るかも分からないのにか?闇雲に探しても見つからないぞ」 「だけど!」 「良いからちょっと落ち着け!」 そう言ってディルが俺の腕を掴む手に力を入れる。 「今、リオがあのトラップを調べてる。その結果が出るまで少し待て!」 そう言ってディルは息を吐く。 「それにフタバなら大丈夫だ、あいつもあれで結構強いし、自分なりに対処するだろう。それにフタバの事だ、『やばい!転移トラップに引っ掛かっちゃった!』とか言って今頃はしゃいでるだろう」 そう言ってディルはニッと笑った。 その笑顔を見て、俺は息を吐く。 「……そうだな。悪い、取り乱した」 俺がそう言うと、ディルは掴んでいた手を離して、俺の肩をポンポンと叩いた。 「リオ、どうだ?」 ディルはトラップを調べてるリオに声を掛ける。 「どうやら魔力に反応して発動するトラップのようです」 「でもリオもその上を通ってただろ?」 「恐らく、一定の魔力量が無いと発動しないものかと」 そうリオが言う。 「ってことは、フタバの魔力量がその条件を満たしたってことか?」 俺がそう言うと、リオが頷く。 「フタバさんの魔力量は私より上です。私では、トラップが発動するほどの魔力量が無かった」 「……フタバはどこに飛ばされたんだ?」 そう聞くと、リオは少し考える素振りを見せる。 「………分かりませんが、これだけ条件の限定されたトラップならそれ相応の場所かと」 そうリオが言う。 『それ相応の場所』 俺にはそれに思い当たる場所があった。 「………最下層、か」

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