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第202話

(ディルside) フタバが転移トラップに掛かってどこかに飛ばされてしまった。 レイスが助けようとしたけど、一歩遅かった。 フタバが飛ばされて、レイスは冷静さを失っていた。 俺はフタバを助けに行こうとするレイスを止めた。 今の状態で行けば、レイスも無事では済まない。 フタバも心配だけど、取り敢えずレイスを落ち着かせるのが先だと思った。 リオがトラップを調べると、魔力によって発動するものだと分かった。 それも魔力量によって発動する。 この中ではフタバが一番魔力が強い。 それにトラップが反応してしまったらしい。 これだけ手の込んだトラップだ。 フタバが飛ばされた先としてレイスが導きだしたのが『最下層』だった。 「リオ」 リオに確認するとリオが頷く。 「可能性はあります。いえ、むしろ正解かもしれません」 そう言うリオの言葉を聞いて、レイスがグッとこぶしを握った。 「リオ、フタバは無事だと思うか?」 俺はレイスに聞こえないように小声でリオに訪ねてみる。 「正直なところ判断は出来ません。確かにフタバさんもこれまででかなり強くはなっていますが、このダンジョンは最下層まではまだ攻略されておらず、何が出てくるのか分かりません。もかしすると……」 「……そうか」 ………最悪な結果も覚悟しておかなければならない、と言うことか。 俺はレイスをチラッと見た。 レイスはずっと下を向いている。 「レ……」 「俺は下層に向かう」 俺が声を掛けようとすると、レイスはバッと俺を見てそう言う。 その目は明らかに闘志が宿っていた。 諦めてない、か。 「俺も一緒に行く」 俺がそう言うと、レイスは驚いた表情を見せる。 「しかし、危険だぞ?」 「俺がここで引き下がると思うか?」 「俺はフタバとパーティーを組んでる。助け出す義務がある」 「俺もフタバとは仲間のつもりなんだが?その仲間が危険な目にあってるのに放っておけないだろ?」 俺がそう言うとレイスは黙ってしまう。 でも既に答えは出ていた。俺とレイスはリオを見る。 そんな俺たちを見て、リオはため息をついた。 「駄目です……と言ってもお二方とも聞かないでしょう?私も行きますよ。ですが、くれぐれも気を付けて下さい。お二方とも立場というものが在るのですから」 「あぁ」 そう言うリオにレイスが頷く。 「分かってる。気を付けつつ全力で、だろ?」 そう言ってニッと笑って見せると、リオは呆れた表情をした後フッと笑った。 「さぁ、さっさとフタバさんを助けに行きますよ」 そう言ってリオがパンと手を叩いた。

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