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第203話

流石にこれは予想してなかった。 俺は出現したボス、キマイラに睨まれていた。 『キマイラ』 獅子と山羊の頭を持ち、蛇の尻尾を持つ魔物。尻尾の蛇には毒があって、獅子は炎を吐く。 ボスの間だからそれなりの魔物が出てくるとは思ってたけど、まさかキマイラが出てくるとは思わなかった。 キマイラはA~Bランク、話に選ってはSランクの場合もある。 これは、中階層で出てくる魔物じゃないぞ。 下手するとラスボスレベルの魔物だ。 しかも問題なのが防御力、攻撃力共に強いことと、巨体の割に機動力があること。 それにキマイラはこれといって弱点がない。 唯一『氷』が苦手だと言われてるけど、それも定かじゃない。 さて、どうしようかな。 そんな事を考えてると、キマイラが戦闘体勢に入ったのが分かった。 どのみち、こいつを倒さなきゃここから出れないんだ。やるしか無いか。 そう思って、俺も覚悟を決めた。 混合魔法 【火柱】 唱えると、キマイラの足元で大爆発が起きて一気に炎が上がった。 【火柱】は火魔法と風魔法の混合魔法。 火種に風を送り込んで一気に燃え上がらせる。 バックドラフト現象を再現した魔法だ。 ……試しで火系の魔法を使ってみたけど、これで少しはダメージ受けてくれれば良いんだけど。 そう思って様子を見ていると、炎の中からキマイラが姿を現して咆哮を上げた。 見た感じ、大きなダメージを受けた様子はない。 むしろ攻撃されたことで怒ってるみたいだった。 3つの顔が俺に怒りを向けてくる。 うわぁ実際のキマイラ、迫力ありすぎだよぉ!!

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