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第204話
(レイスside)
15階層
この階層から魔物が強くなって、出現する魔物の種類も増えてくる。
俺たちは今、2体のサラマンダーと対峙していた。
サラマンダー
火を操るトカゲ型の魔物だ。
Cランクの魔物で、多少実力があれば倒せる魔物だ。
この魔物は俺たちとは相性が悪い。
火魔法を得意とするディルの攻撃は、同じ火系のサラマンダーにはさほど効果がない。
物理攻撃も硬い表皮に拒まれてダメージが通りにくい。
俺たちはサラマンダーに決定打を与える事が出来なかった。
くそっ!!こんなところで苦戦している暇はないのに!
早くフタバの元に行かなくてはならないのに!
一刻も早く下層に向かいたくて、俺は気が競っていた。
「レイス!!」
名前を呼ばれたと思ったら、思い切り腕を引かれる。
見ると、ディルが後ろから襲い来るサラマンダーを止めていた。
後ろからの攻撃に気付かなかった。
「リオ!!」
ディルがサラマンダーを止めながら後方に居るリオに向けて叫ぶ。
「ディル様、避けて下さい」
そう言ってリオがサラマンダーに向けて手をかざす。
【彼の敵を撃ち抜け】
【ウォーターショット】
リオが詠唱を唱えた瞬間、無数の水弾がサラマンダーに向けて放たれた。
ディルが水弾を避けるように真横に飛ぶ。
次の瞬間、リオの放った水弾が2体のサラマンダーに直撃した。
サラマンダーが断末魔を上げて倒れる。
剣を構えたまま様子をみていると、サラマンダーの体が霧散して消えた。
サラマンダーを倒した事を確認すると、体から一気に力が抜けた。
その瞬間、戦闘の疲労から呼吸が乱れた。
そんな俺にディルが近寄ってきた。
「レイス、焦りすぎだ。ちょっと落ち着け」
ディルにそう言われる。
「………すまない」
「焦る気持ちも分かるが、お前に何かあっては元も子もない」
俺はそれに答える事は出来なかった。
分かってる、焦っても仕方ない。
それでも焦らずにはいられない。
フタバが居ないだけでこんなに不安になるなんて思わなかった。
フタバを失うことがこんなに怖いなんて思わなかった。
頼むから、無事で居てくれ。
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