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第208話
【氷槍】を放つと、キマイラは炎を吐いて【氷槍】を打ち消した。
雷魔法【雷震】
雷魔法を放つと、3つの雷の玉が三角に連なってキマイラを取り囲んだ。
【氷槍】は囮、本命はこっちだ。
【雷震】は電子レンジをイメージした魔法。
分子を振動させて熱を発生させる。
その中心にある"もの"は中から熱せられる。
生き物に使った場合、体内から熱せられて血が沸騰して死に至る。
俺は最大限魔力を込める。
その瞬間、バチンと大きな音がしてキマイラが地面に落ちた。
地面に落ちて動かなくなったキマイラにそっと近付いて様子を伺う。
キマイラの体からはシューと音がして湯気が出ていた。
……倒した?
俺はまた動き出すかもと思って、警戒しつつキマイラを眺めていた。
でもキマイラは一向に動く気配は無かった。
俺は倒した事を確認すると、ハァと大きく息を吐く。
その瞬間、体の力が抜けてその場に座り込んでしまった。
つ、疲れたぁ~。
いきなりキマイラってなんだよ!?
無理ゲーにも程があるよ!!
そうこうしてる内にキマイラの体が霧散する。
そこに石みたいなものが落ちてるのに気付いた。
俺は這いずってその場に行く。
見ると10cmくらいの赤い石が落ちていた。
……これってキマイラの魔石?
俺はそれを拾ってマジマジと見る。
やったぁ!!キマイラの魔石ゲット!!
スライムやコボルトの魔石は1cmにも満たないくらい小さかったのに、これはすごく大きい。
もしかして相当価値があるんじゃない!?
そう思って、俺は無限収納にキマイラの魔石をしまった。
そうすると、部屋の奥に魔法陣が現れた。
……あれ、魔法陣だけ?
通常ボス戦が終わると、地上に戻る魔法陣と下層に向かう階段が現れる。
でも魔法陣だけってことは………もしかしてここ最下層!?
いや、キマイラが出てきたのも最下層なら納得出来る。
俺はキマイラとの戦いを思い出す。
ラスボスクラスだとは思ったけど、本当にラスボスだったなんて…………俺、よく無事だったな。
そのあり得ない状況に、俺は笑うしかなかった。
無限収納から水を取り出すと、それを飲んで一息つく。
俺は現れた魔法陣に目を向けた。
あれを使えば地上に戻れるけど、その前にレイスたちと合流しなきゃ。
その為には上層に戻らなきゃいけないんだけど………
レイスたちが今どの階層に居るか分からないし、キマイラとの戦いの後だから俺に他の魔物と戦う気力がない。
そう思うと、俺はニヤリと笑った。
"アレ"を試してみるか。
感覚は分かったし、リオさんの魔力を思い浮かべれば大丈夫な筈。
俺はそう考えると、すぐに行動に移した。
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