211 / 269
第209話
(レイスside)
32階層
最下層まであと18階層。
俺たちは疲労もあって上手く進めないでいた。
いくら高ランクの冒険者でも、50階層あるダンジョンを一気に進むことはない。
いやむしろ高ランクだからこそ、そんな無謀なことはしない。
俺はディルとリオをチラッと見る。
二人にも明らかに疲労の色が見えていた。
本来なら休息をとった方が効率は良い。
でも俺たちにはそんな時間は無かった。
俺たちは出現する魔物を倒しつつ、先を急いだ。
「っ!?お二人とも止まってください!」
先頭を走っていたリオが急に止まったかと思うと、そう言って手を広げて行く手を遮る。
「どうかしたのか?」
ディルがそうリオに聞く。
「……何か来ます」
リオをそう言うと、前方に意識を向けた。
俺たちもリオの言葉に前方を警戒した。
しばらくすると、前方に魔法陣が現れた。
俺たちは剣の柄に手を掛けていつでも動けるように体制をとる。
警戒しつつ、魔法陣から出てくる相手を待った。
魔法陣が強く光を放って、その中心に人影が浮かび上がる。
俺とディルは剣を抜いて構えた。
光が徐々に収まってきて、その人影がはっきり見えてきた。
俺たちに気付くと、パァと笑顔になった。
「やったぁ!!成功だ!!」
そう歓喜の声を上げた。
ともだちにシェアしよう!