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第211話

(レイスside) 魔法陣が出現と、そこからフタバが姿を表した。 見た感じ、少し疲れた様子ではあるけど目立った怪我もない。 ディルとリオといつもと変わりなく会話をしている。 本当はすぐに駆け寄りたいのに、俺は動けないでいた。 そんな俺にフタバが近寄ってくる。 フタバの顔を見た瞬間、気持ちが溢れてきて俺は思わずフタバを抱き締めた。 俺が抱き締めた事で慌てたフタバも、しばらくして俺に答えてくれた。 俺はフタバから感じる体温に、ホッと息を吐いた。 フタバが傍に居ないだけで、不安で仕方なかった。 フタバが危険な目に合ってるかと思うと、居ても立ってもいられなかった。 いつの間にこんなにもフタバの存在が大きくなってたんだろう。 いつの間にフタバがこんなにも大切になっていたんだろう。 今まで大切なものは極力作らないようにしていた。 フタバと行動を共にしていたのも気まぐれだった。 でも気付いたら、俺の中にはいつもフタバが居た。 傍に居て欲しい存在。 失いたくない存在。 この気持ちは、もうずっと前からあったんだ。 どうして今まで気付かなかったんだろう。 俺はフタバが好きなんだ。 体制を立て直す為に、俺たちは一度ダンジョンを出る事になった。 リオに呼ばれたフタバが俺の傍から離れていく。 見える所に居るのに、手は届かない。 その事にさえ寂しいと思ってしまう。 俺は手をグッと握り締めた。 この気持ちに気付いてしまった。 一度気付いてしまったら、もう止めることなんて出来ない。 でもフタバにこの気持ちを伝える事は出来ない。 ………こんなことなら、気づかなかった方が良かったのかもしれない。

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