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第212話

「キマイラ!?」 ディルがそう叫んで立ち上がる。 俺たちはリオさんの転移魔法でダンジョンから一度出ると、ミラの町まで戻ってきた。 宿屋の着くと、俺が飛ばされた後何があったのか聞かれて説明をしていた。 「キマイラはAランクの魔物で、必ずパーティーを組んで向かう相手だ。それを一人で倒したのか?」 ディルは驚いた表情を崩すことなくそう言う。 「どうやって倒したか聞いても…?」 とリオさんも驚いた表情で聞いてくる。 「……えっと、氷魔法で注意を引いて、その隙に雷魔法でバチンと」 俺はキマイラとの戦闘を思い出しながら、手振り素振りを交えつつ説明した。 説明し終えると、ディルとリオさんは固まってしまった。 「…………フタバが規格外なのは知ってたけど、ここまでとは」 そう言ってディルは大きなため息をついた。 キマイラは確かに強かったけど、俺でも倒せたからディルたちならもっとスムーズに倒せると思う。 「……その後はどうやって私たちの場所まで?」 「転移魔法を試したんです。トラップで感覚が分かったから使えるかと思って」 そう言うと、リオさんも大きくため息をついた。 「フタバさん、転移魔法なんて普通はそう簡単に使える魔法ではないのですよ。ましてや今まで使ったことのない人が一発で成功させるなんて聞いたことありません」 「イメージはずっとあったんです。でもどうしても感覚が掴めなくて……」 そう言って少し困ったように笑ってみせると、またリオさんに大きなため息をつかれた。 「……しかし、この事をギルドにどう説明するかですね」 リオさんはディルに向かってそう言う。 「どのみちギルドカードに討伐記録が残るんだ、隠す事は出来ない」 ディルがそう言うと、リオさんは『そうですね』と頷く。 その後は二人で話始めた。 二人の会話を聞いていると、慣れないことをした疲れからか睡魔が襲ってくる。 俺は頑張って起きていようとしたけど、段々と瞼が下がっていった。 「………さん………バさん」 名前を呼ばれて、体を揺すられてハッと目を開けた。 目の前にはリオさんが居て、一瞬状況が分からなくなる。 「……ぁ……ごめんなさい」 俺は自分が話の途中で寝てしまったことを思い出して二人に頭を下げた。 そんな俺に、リオさんがフッと微笑む。 「大丈夫ですよ。疲れたのでしょう、今日はもう休んで続きは明日にしましょう」 リオさんにそう言われて、俺は頷いた。 俺は着替えを済ませると、早々にベッドに入った。 ……そういえばレイスは? そう思ってレイスの姿を探すけど、ベッドに入ったことで一気に睡魔に襲われて、抗うことが出来ずに俺の意識は沈んでいった。

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