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第215話

レイスの陰から部屋の奥を覗くと、奥に男の人が座っていた。 少し厳つい感じで、顔に傷があって貫禄がある。 ヤバい!ギルマスイメージ通りなんだけど! イメージ通りのギルマスに、俺はテンションが上がった。 ……あ、でも…俺たちこれからこの人に怒られるんだよね…… そう思った俺は一気にテンションが下がった。 そんな事を考えていると、両サイドから『ぷっ』と笑い声が聞こえてきた。 レイスとディルを見ると、二人ともそっぽを向いて肩を震わせている。 「………なんで笑ってるの?」 「…だってお前……」 ディルが笑いを堪えながら言い掛けるけど、耐えられなかったみたいでまた肩を震わせる。 レイスに至っては、ずっと笑いっぱなしだ。 結局二人が何で笑ってるのか分からなくて、俺は首を傾げた。 「………何をしているのですか?」 そんなやり取りをしていると、リオさんが呆れたようにそう言う。 先に部屋に入っていたフレアさんも困ったように笑っていた。 フレアさんとリオさんに促されて俺は部屋に入る。 ギルマスが座ってる机の前に置かれているソファに案内された。 ………ヤバい、すごい緊張する。 俺は机に座っているギルマスをチラッと見た。 フレアさんがギルマスに何か話している。 その様子を見ていると、フレアさんに話を聞いていたギルマスがこっちを見た。 ギルマスと目が合って、俺は思わず俯いてしまった。 そんな俺を見てか、ギルマスが豪快に笑った。 「そんな畏まる必要はない、別に取って食いやしねぇから」 そう言ってギルマスはニカッと笑う。 そのままギルマスは俺たちの向かいのソファに座った。 「俺は冒険者ギルド、ミラ支部を任されてるドランだ。で、早速ではあるが少し話を聞きたい」 そう言ってドランさんは俺を見る。 その視線に背筋がピッと伸びた。 「お前がフタバであってるか?」 「あ、はい、フタバです」 俺が慌てて名乗ると、ドランさんはまた豪快に笑った。 「俺に敬語なんて使わなくて良い」 そう言って笑うドランさんに、俺は若干圧されていた。

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