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第216話
敬語じゃなくていいっていっても……
俺はもう一度ドランさんを見る。
ドランさんは俺が見てるのに気付いてニッと笑った。
……うん、ドランさん相手にタメ口なんて無理だ。
そう思って、俺は一人で頷いた。
「まぁそれは置いといて、本題はここからだ」
ドランさんがそう言うと、フレアさんがテーブルの上に何か置いた。
フレアさんが置いたのは、土台の上に丸い石が取り付けてある。
パッと見ただのオブジェみたいだけど、これ嘘発見器だ!!
上の石が魔石で、相手が嘘をつくと光ったりするんだよね。
「話してくれるか、ダンジョンで何があったのか」
俺が嘘発見器に気を取られてるとドランさんが話を進める。
それに関してはリオさんがドランさんに説明してくれた。
正直、俺はあまり詳しい事を知らないんだよね。
だから説明しろって言われても困る。
リオさんが説明するにつれてドランさんが額に手を当てて悩み出す。
「………で、32階層に差し掛かったところでフタバさんが」
「ちょ、ちょっと待て!?なぜそこでフタバが現れる!?」
俺と合流したところを説明してるところでドランさんがリオさんが止める。
「なぜって……」
そうリオさんが言い掛けて俺に視線を向ける。
「俺が転移魔法を使ったからですね」
「転移魔法!?」
俺がそう答えると、ドランさんは驚いて勢いよく立ち上がる。
その後すぐ嘘発見器を見る。
俺は嘘は言ってないから当然何の反応もしない。
「………嘘じゃないのか。じゃあ最下層のキマイラを倒したっていうのも?」
「……えと、本当です」
そう言うと、ドランさんは大きくため息をついた。
「話を纏めると、転移トラップによってフタバは最下層に飛ばされてボスであるキマイラと戦った。その間他の3人はフタバを助けるために一気に32階層まで下りた。で、キマイラを倒したフタバは転移魔法を使って3人と合流したと………これであってるか?」
ドランさんの説明に、俺たちは頷いた。
その後ドランさんは体を折って動かなくなる。
俺たちはどうしたのかとドランさんの様子を見ようとすると、突然ドランさんが体を起こしてバンッと自分の膝を叩いた。
「よしっ!フレア、手続きを頼む!」
ドランさんがフレアさんにそう指示すると、フレアさんは頷いて部屋を出ていった。
「フタバ、お前のランクを上げる」
俺たちに向き直ったドランさんがそう言う。
「え?」
「証言も取れた、十分ランクアップの条件は満たしている」
「でも俺、冒険者になってそんなに経ってないですよ!?」
いくらなんでも、そんな俺がランクアップは早すぎる。
「別に構わんだろう。それにキマイラを単独で倒せる奴を低ランクに留めて置く方がこっちの損失になるからな」
そう言ってドランさんは高らかに笑った。
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