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第218話

『風城!?』 そう声がした。 この世界で俺を『風城』と呼ぶ人は限られている。 振り返ると、驚いた表情で立つ二人組を見つけた。 「……水上に高峰……?」 「やっぱり風城だ!」 そう言って水上が駆け寄ってくる。 高峰も水上の後をついて近寄ってきた。 「……どうして二人がここに?」 「宰相の人に魔物との戦闘経験を積むためにダンジョンに行けって言われたんだよ」 「そうなんだ」 でもなんでミラのダンジョンなんだろう。 アルザイルからは結構距離があるとおもうんだけど…… アルザイルにはダンジョンがないのかな。 「それより、風城が無事で良かった」 「……え?」 「風城が城を抜け出したって聞いてずっと心配だったんだ」 水上はそう言って『なぁ?』と高峰に話を振る。 話を振られた高峰は『フン』と顔を背けた。 「俺は別に……ただ、お前に何かあったら後味悪くて"俺が"嫌なだけだ」 高峰は『俺が』をやたらと強調した。 おぉ!?不良キャラだと思ってたら、まさかのツンデレキャラ!? 俺は高峰の意外な一面に、思わず笑ってしまった。 「…二人とも心配掛けてごめん。城を出た後、親切な人に会えて今も助けてもらってる」 「あの人たちがそうなのか?」 水上が少し離れた場所に居るレイスたちをチラッと見て言う。 「うん、あの人たちが居なかったら野垂れ死んでたかも……」 そう言って俺は苦笑を漏らした。 そんな話をしているとリオさんに『座って話されては』と言われて、俺たちは隣接しているカフェスペースに移動した。

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