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第220話

「え、じゃあ今回初めて城から出たの?」 久しぶりに再会した俺たちは、お互いの近況報告をしていた。 「今までずっと城で騎士の人に戦闘訓練をやらされてたよ」 水上がそう言って高峰に『なぁ?』と同意を求める。 それに対して、高峰は頷いた。 「二人とも今レベルいくつ?」 「……俺は20だったかな」 そう水上が答える。 「俺は22になった」 そう高峰も答える。 へぇ~、高峰の方がレベルが高いのか。 本来なら勇者の方がレベルが上がりやすいんだけどな。 「どうも俺は戦闘とかは苦手らしい」 そう言って水上が苦笑を漏らした。 「でもかなり上がってるじゃん」 俺がそう言うと、水上は『まだまだだよ』と謙遜した。 二人とも、まだ最初の俺には届いてないけど…… 俺は昨日確認したらレベル75になってたし。 「何か不便なことはない?」 俺がそう聞くと水上が首を傾げる。 「不便なこと?」 「…俺が逃げた事で二人にとばっちりがないかと思って」 そう言うと、水上と高峰が顔を見合わせた。 「……特に不便なことはないかな」 そう水上が考えながら答える。 「俺も別に…てか、お前はなんで逃げたんだ?城に居た方が何かと助かるだろ?」 『知らない場所なんだし』と高峰は言う。 「………うーん、何でって言われても」 これは言っても良いのか? そう思ったけど、二人がじっと見てきて、誤魔化せないと思った。 「これは俺の第一印象だけど、あの城の人たちが何か嫌な感じがして信用出来なかったんだよね」 「だから逃げたのか?」 とまた高峰が聞いてくる。 「あのまま城に居たら、使い捨てられると思ったんだよ。捨て駒にされるのはごめんだからね」 俺がそう言うと、また二人が顔を見合わせた。 「俺たちも城の人たちを信用してる訳じゃないんだよ」 と水上が言う。 「え?」 「都合の悪い事は俺たちには伝わってこないからね。宰相の人が何かコソコソと話してたのは聞こえてたよ」 「え、ちょっと待って!?聞こえてたって何!?」 『伝わってこない』ってことは、城の人たちは二人に何も話してないって事だ。 つまり、この二人の前では話してない。 それが聞こえるってどういう事!? 「あぁ、俺のスキルだよ。『超感覚』って言って、聴覚や視覚が強化されて普通は聞こえない音とか遠くまで見えたりとかするんだよ」 『だから城の中での会話とかも聞こえるんだ』と水上は言う。 「高峰は?高峰も何かスキル持ってる?」 俺は今度は高峰に向く。 「俺は『神速』ってスキルがある。文字通り、早く動けるスキルだな」 「……二人とも宰相とかにスキルの事伝えた?」 「え?伝えてないよ」 水上がそう言って首を振る。 「俺も言ってないな。聞かれなかったし」 と高峰も言う。 「だったらスキルの事は隠しておいた方が良い。いざという時の切り札になるから」 俺がそう言うと少し意味が分からないって顔はしたけど、二人とも頷いてくれた。

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