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第222話
飛び込んできた男の人にフレアさんが駆け寄る。
「どうされたんですか!?」
「ワ、ワイバーンだ!ワイバーンの群れがこっちに向かってきてる!」
男の人がそう言った瞬間、ギルド内に居た全員が息を飲んだ。
「………ワイバーンって何だ?」
高峰がボソッと呟く。
「魔物の名前だよ。魔物の中では結構定番で俺たちの世界で言う翼竜に姿が似てるかな」
「……強いのか?」
「単体では差ほど。でもワイバーンは群れで行動するし、空を飛べるから厄介な相手だよ」
俺がそう言うと、高峰は黙ってしまった。
「緊急クエストを発令します!たった今、ワイバーンの群れの目撃情報が入りました!今ここに居る冒険者の方たちは、ただちにワイバーンの撃退をお願いします!!」
男の人の情報で、フレアさんが急かさず皆に指示を出す。
その場に居た冒険者たちは早々に準備をしてギルドを出ていった。
無魔法【探索】
『探索』を使うと、ミラの町のほぼ真上に無数の魔物の気配を察知した。
………ワイバーンは全部で50匹くらいか。
「フタバ!!」
そんな事を考えていると、レイスに呼ばれた。
「俺たちもワイバーンの撃退に向かう。お前はここに居ろ」
「え!?ちょっ……」
俺が止める間もなく、皆は走っていってしまった。
いくら皆がAランクでもワイバーンの数が多すぎる。
リオさんが居たとしても、レイスとディルじゃ空を飛ぶワイバーン相手はかなり不利だ。
「二人はここに居て」
そう言って俺も皆の後を追おうとした。
「待って!」
水上に止められる。
俺が水上を見ると、水上はフッと笑った。
「俺も一緒に行くよ」
「え?」
「俺じゃそのワイバーンっていうのには敵わないかもしれないけど、町の人の避難誘導とかは出来るからさ」
そう言って水上は笑う。
そう言ってもらうのは有難い。
でも、水上を一緒に連れていって良いのか、正直迷った。
そう思っていると、高峰が出口に向かって歩き出す。
「……高峰?」
「何してんだ、緊急事態なんだろ?ぼさっとしてないてサッサと行くぞ」
そう言って高峰はまた歩き出した。
まだ迷ってる俺の背中を水上が押す。
「さぁ、早く行こう」
そう言って水上も高峰の後を追う。
俺はギュッと拳を握ると、二人の後を追った。
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