225 / 269
第223話
外に出ると、町の人は皆パニックになって逃げ惑っていた。
空を見ると、まだ遠いけど目視でワイバーンの群れが確認出来た。
「……出てきたは良いけど…これ、どうすりゃ良いんだ?」
そう高峰が呟く。
水上もその光景に呆気に取られていた。
二人は恐らく魔物との戦闘には慣れていない。
二人がこの状況に対応出来ないのは当たり前だ。
俺も慣れてはいないけど、状況把握が出来る分落ち着いている。
「二人とも魔法は使える?」
「…え…ぁ……俺は…」
俺の問いに高峰が何とか答えようとしてくれるけど、まだそれどころじゃないみたいだ。
水上はまだ動けないでいた。
「大丈夫だよ。ギルドが対処してるし、他の冒険者もワイバーン討伐に動いてる。俺たちは俺たちの出来ることをすればいい」
俺がそう言うと、二人の顔付きが変わった。
どうやら覚悟が出来たみたいだ。
「俺は光魔法が使えるよ」
そう水上が言う。
「俺は風魔法が使える」
そう高峰も答える。
「…光に風か……うん、十分使えるね」
「……でも俺たちは魔法が苦手で」
と水上が不安そうに言う。
水上の話では、魔法というのかいまいち分からないらしい。
それは無理もない。俺みたいに魔法が使えたらとか考えてる訳じゃないし、魔法が当たり前のこの世界の人の説明で、魔法の無い世界から来た水上たちが理解出来るとは思えない。
「自分の中の魔力の流れは感じることは出来るんだよね?」
そう聞くと、二人とも頷く。
「なら大丈夫。魔法は術者の想像力が大切だから、イメージを鮮明にすれば大丈夫」
「……それってどうすれば?」
と水上が聞いてくる。
「光魔法だったら、レーザー光線とかフラッシュとかがイメージしやすいんじゃない?」
「俺は?」
と今度は高峰が少し前のめりで聞いてきた。
「高峰の場合は一番イメージしやすいのは竜巻とか暴風じゃないかな。二人とも魔力調節とかが難しいと思うけど、今は取り敢えず町の人の避難誘導を優先して。もしワイバーンが襲ってきたときは全力で魔法をぶつけて。俺も出来るだけフォローするから」
俺がそう言うと、二人とも頷いた。
ともだちにシェアしよう!