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第225話

(水上side) 俺は風城に言われた通り後ろに下がった。 何をするのかと見ていると、風城はガラスみたいなものを支えてる手とは反対の手をワイバーンにかざした。 その瞬間、カッと稲光が見えたかと思ったらバチンと音がしてワイバーンは地面に落ちた。 風城がガラスみたいなものを消して、地面に落ちたワイバーンにそっと近付く。 少し距離を取った位置からウロウロとワイバーンの様子を見ていた。 「もう大丈夫だよ」 風城はそう言うと、ワイバーンに向けてまた手をかざす。 その瞬間、ワイバーンが跡形もなく消えた。 「………今何したんだ?それにさっきも……」 そう聞くと、風城がきょとんする。 「何って、魔法を使ったんだよ」 「さっきのが魔法?でも魔法を使うなら詠唱が必要だって教わったけど」 「あぁ、俺は詠唱は必要ないんだよ。言ったでしょ、魔法を使うにはイメージが大切だって。イメージがしっかりしてれば詠唱なんて必要ないんだよ」 やっぱり風城は俺たちとはどこか違う。 「おい、大丈夫だったか!?」 風城とそんなやり取りをしていると、先に行ってた高峰が走ってきた。 「こっちにワイバーンが飛んでったのが見えたけど……」 そう言って高峰は辺りを見回す。 「俺たちは大丈夫だよ。風城がワイバーンを倒してくれたから」 俺がそう答えると、高峰はホッとしたような表情を見せた。 「ワイバーンの群れはあらかた片付いたらしい。冒険者は一度ギルドに戻れってさ」 そう高峰が言う。 「そうか、ありがとう。風城も一度戻って………」 そう言って風城を見ると、風城は周りをキョロキョロと見回している。 仲間の人たちを探してるんだろうな。 「風城、俺たちはもう大丈夫だから、風城は仲間の人たちのところに行きなよ」 「え、でも……」 余程俺たちが気になるのか、風城は俺たちから離れることを躊躇する。 「大丈夫だよ。ワイバーンもあらかた片付いたみたいだし、俺たちはすぐにギルドに戻るから」 俺がそう言うと、風城は少し考える素振りを見せた。 「………うん、分かった。じゃあまた後で、ギルドでね!」 そう言って風城は手を振りながら走っていった。 「……あいつ、やっぱ俺たちとはちょっと違うみたいだな」 風城が居なくなると高峰がそう呟く。 「そうだね、風城は俺たちなんかより色々なものが見えてるんだよ。だから城からも出ていったんじゃないかな」 「俺たちも身の振り方を考えるべきなのかもな」 そう言う高峰に俺は頷いた。

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