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第226話
二人が見えなくなると、俺は足を止めた。
っ……何が詠唱は必要ないだよ!?イメージが大事とか言って、頭の中でしっかり技名唱えてる俺ってどんな中二病だよ!?
ヤバい、これめっちゃ恥ずい!!
そう思って、俺は頭を抱えた。
俺は踞ってしばらくグルグルとして、『うん、仕方ない。俺は中二病だ!』と開き直った。
この世界に喚ばれる前から魔法の効果とかを色々考えてる時点で既に中二病全開だ。
この世界ではおかしくない。
詠唱をしない分まだマシ…………うん、マシなはず!
俺はそう自分に言い聞かせて、気を取り直してレイスたちを探した。
ワイバーンがほぼ片付いたとはいえ、町の人たちはまだかなり混乱している。
ギルド職員の人が中心となって事態の対処に動き回っていた。
冒険者と分かる人たちも率先して瓦礫の整理やパニックになってる人たちを宥めていた。
俺は【探索】を使ってリオさんの魔力を探した。
多分三人とも同じ所にいると思った。
魔力を広げて町の端まで探っていく。
魔力を広げていくと、町の端にリオさんの魔力を感じた。
……結構離れてるな。
あの位置だとほぼ前線じゃないか。
大丈夫なのかな、怪我とかしてないよね。
そう思ったら急に不安になって、俺は皆のところに急いだ。
前線に近付くにつれて怪我をした冒険者が目に付くようになってくる。
中には怪我で動けない人もいて治癒魔法で治療されてる。
俺はますます不安になった。
リオさんの魔力は変化がない、ディルの魔力も感じられる。
だから大丈夫だって分かる。
でもレイスは魔力がないから【探索】では無事なのかどうかが分からなかった。
俺はリオさんの魔力を頼りに、その場に走った。
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