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第231話
二人の乗った馬車が見えなくなると、また寂しさが込み上げてきた。
じんわりと目頭が熱くなる。
二人とは召喚された日に初めて会った。
俺がすぐに城を抜け出したからまともに会話すらしてない。
俺の中では、ただの同郷の人くらいの認識だった。
今回、たまたまだけど二人に会えて久しぶりに元の世界の話をして、すごい楽しかった。
二人の知らない部分をたくさん知れて、たった1日一緒に居ただけなのに、別れるのが辛いと思った。
俺はもう一度、馬車が走り去っていった方を見た。
二人とは友達になれたかな。
俺の事、友達と思ってくれてたら嬉しいな。
そんな事を考えていると、頭に手が置かれた。
見ると、レイスが俺を見て微笑んでいた。
「良い奴らだったな」
「うん、二人の事一杯知れた」
俺がそう言うと、レイスにワシャワシャと頭を撫でられた。
その後、レイスはフッと笑ってディルたちの所に戻っていった。
………これは、慰められたのかな。
俺は乱れた髪を直しながら、ディルたちと話しているレイスを見た。
……そうだよね、いつまでも沈んでちゃダメだよね。
うん、二人とはまた話をしたいから、連絡手段、本気で考えよう。
そう思って、俺は気を取り直してグッと手を握った。
・・・・・・・・・・
俺たちはこの後どうするかを、また考えていた。
本当ならミラの町を観光して、近くの森で魔物狩りをする予定だった。
でもワイバーンの襲来でそれが出来なくなってしまった。
かといって、このまま帰るには日にちが余っていた。
帰りは迎えの馬車が来ることになっている。
その馬車が来るのは2日後。
ミラの町の観光は出来るけど、あまり遠くまでは行けないという事で、俺たちは悩んでいた。
「……そういえば、ここから馬車で少し行ったところにもう一つダンジョンがありましたね」
思い出したようにリオさんが言う。
「まだダンジョンがあるの!?」
俺はダンジョンと聞いてテンションが上がった。
「えぇ、10階層からなる初級ダンジョンで、1日あれば攻略出来ます」
10階層か。
初級だからあまり強い魔物は出てこないけど、戦闘訓練には持ってこいだな。
「そのダンジョンって、どんな感じのダンジョンなんですか?」
そうリオさんに聞いてみる。
「もう既に攻略されてるダンジョンなんですが、小さなダンジョンってこともあって今は経験値を得るために使われてるダンジョンなんです」
リオさんがダンジョンの説明をしてくれる。
俺はそれを聞いて、益々テンションが上がった。
「アンデット系の魔物が中心に出現するダンジョンで戦闘訓練にはちょうど良いダンジョンですね」
それを聞いて、ピシッと何かにひびが入った。
…………アンデット?
アンデットってあれだよね……
ゾンビとかスケルトンとかだよね……
「アンデットはしぶといから戦闘訓練には持ってこいだな」
ディルがそう言う。
「俺は苦手だな。アンデットって、物理攻撃じゃ倒せないし」
とレイスが会話に加わる。
「確かに物理攻撃は効かないな。でも魔法の訓練にはちょうど良い………」
「やだ」
俺はディルの言葉を遮った。
そう言った俺に、三人の視線が集まる。
「……フタバ?やだって何がだ?」
しばらく沈黙が続いた後、ディルが戸惑った感じで聞いてくる。
「………ゾンビやだ」
「え?」
俺は戸惑ってる三人をキッと睨んだ。
「アンデットは絶対やだ!!」
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