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第232話
『アンデットは絶対やだ!!』
そう叫ぶと、三人がポカンとしていた。
俺が5歳くらいの時、家族で遊園地に遊びに行ってお化け屋敷に入った。
その遊園地のお化け屋敷が人形を使ったやつなら違ってたかもしれない。
でもそのお化け屋敷は人が驚かすタイプのお化け屋敷で、お化け屋敷内の暗さに既にビビってた俺は驚かす為に出てきたスタッフの人に放心状態。
見かねた家族が俺をお化け屋敷の外に連れ出した。
そこで我に返った俺は大号泣。
それ以来、ゾンビとかお化けとかのホラー系が全く駄目になった。
ちなみにそれ以来、お化け屋敷には入っていない。
アンデットでもマンガとかアニメならデフォルメされてるから大丈夫なんだけど、実写は無理。
ましてや、本物のゾンビなんて考えただけで卒倒しそう。
「………フタバにも苦手なものがあったんだな」
とディルが染々と言う。
「……俺にだって苦手なものくらいあるよ」
「いや、フタバって魔物にも平気で突っ込んでいくし、結構肝が据わってるから苦手なものって想像出来なくて」
そう言ってディルは苦笑する。
………ディルの中での俺ってどんななんだろ?
「……取り敢えず、アンデットは本当に無理」
「無理なら克服すれば良いんですよ」
リオさんがにこやかにそう言った。
「………えっと、リオさん。それってどういう……?」
俺がそう言うと、リオさんはニッコリと笑う。
正直、嫌な予感しかしない。
「苦手なものをそのままにしておくと、後々それが弱点になります。今の内に克服しておくのが良いでしょう。それに今後、アンデットとの戦闘もあるかもしれません。その時に逃げ出すようではいけませんから」
とリオさんは笑顔で言う。
……これって、もしかしなくてもアンデットが居るダンジョンに行く流れ?
「……あの、俺……」
「大丈夫ですよ。フタバさんなら必ず克服出来ますから」
そう言ってリオさんはものすごく良い笑顔を見せる。
俺は助けを求める為にレイスを見た。
その瞬間、レイスは俺から目を逸らす。
次にディルを見る。
すると、ディルも俺から目を逸らした。
「さぁ、準備が出来たら出発しますよ」
そう言って有無を言わさないリオさんの笑顔に、俺は逆らうことが出来なかった。
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