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第233話
(レイスside)
フタバがアンデットが苦手なのは驚いた。
フタバなら喜んでダンジョンに行きたいと言うと思ってた。
絶対に嫌だと言うフタバにリオが苦手克服のためにダンジョンに行こうと言い出した。
フタバには助けを求められたけど、俺にはどうしようも出来ないと顔を背けた。
フタバはディルにも助けを求めてたけど、ディルも俺と同じ反応をしていた。
リオに押し切られたフタバは涙目になっていて、逆にリオは嬉々としていた。
………すまない、俺にはリオを止められない。
そう思って、俺は心の中でフタバに手を合わせた。
俺たちは一度部屋に戻ってダンジョンに出かける準備をする。
その間もフタバのテンションは駄々下がりだった。
フタバは支度をしてる最中も、何度も手が止まり深くため息をつく。
時間が掛かりながらも支度を終えてもう一度ギルドに戻った。
そこにはリオが居て、ダンジョンに入る申告も馬車の手配も済んでると言った。
手配した馬車の準備も出来て、俺たちは馬車の乗り込むとダンジョンに向けて出発した。
「ダンジョンは近いので、午後には着きますよ」
とリオは上機嫌で言う。
上機嫌のリオとは逆に、フタバはもう何度目か分からないため息をついていた。
しばらく馬車を走らせると、ダンジョンの入り口に到着した。
そのダンジョンは既に攻略されてるため、低ランク冒険者のレベルアップに利用されている。
その為か、入り口付近には冒険者の姿が数人確認出来た。
「さぁ皆さん、行きますよ」
そう言うリオに対して、俺とディルはどう反応して良いのか分からない。
普段は真っ先に食い付くフタバが何の反応も示さないからだ。
「フタバさん、今からそんな調子でどうするのですか?そんなでは魔物に負けてしまいますよ」
そうリオが言う。
リオにしてみたらフタバへの叱咤激励のつもりなんだろうけど、今のフタバには逆効果だと思う。
「……あの…リオさん、やっぱ俺……」
フタバは今にも泣きそうな顔で『やっぱ無理』とリオに訴える。
「フタバさん、やる前から諦めてはいけませんよ」
そう言うリオにフタバは涙目になっていて、さすがにフタバが不憫に思えた。
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