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第236話

(レイスside) フタバはいつ現れるかも分からないアンデットを怖れて、短時間で心身共に疲れきっていた。 そんなフタバを見かねたリオさん休憩すると言った。 通路の少し窪んでる所。 そこにリオが結界を張って休む事にした。 でもフタバは休憩している最中も何かに反応するように警戒していた。 しばらく休憩して少し回復したところで、また探索を開始する。 今のところアンデットは出現していないからもしかすると今回は出ないのかもしれない、そう思ったのも束の間、それは現れた。 前方からゾンビがおぼつかない足取りで進んできた。 ゾンビは人が死んで、その死体が魔素により生ける屍となったもの。 元が死体なだけに体の機能は全て停止している。自我もない。 ゾンビが求めるのは生者の血肉。 生者の声や音に反応して襲いかかってくる。 フタバはゾンビを見た瞬間、パニックになって俺にしがみついてきた。 フタバにしがみつかれて、このままじゃ戦闘態勢も取れない。 俺はフタバに少し離れるよう言っても、フタバは更にしがみついてくる。 完全にパニックになってるフタバに、俺の声は届かなかった。 フタバは『嫌だ』『来るな』と叫ぶ。 その声にゾンビが反応してしまった。 フタバの声に反応したゾンビが、フタバに向かってくる。 それに更にパニックになったフタバがゾンビに向けて手をかざした。 その瞬間、ゾンビに足元に魔法陣が現れた。 「ちょっ!?まっ……」 俺が止める間もなく、魔法陣が爆発して炎が吹き出した。 その炎はゾンビを飲み込んで俺たちの方にも向かってきた。 「リオ!!」 ディルが叫ぶと、リオが結界を何重にも展開させた。 フタバの魔法は強力で外側の結界が次々と破壊されていく。 リオは結界が壊れる度に新たな結界を展開させて炎を防いだ。 リオは結界を壊されては張りを何度も繰り返す。 それを何度が繰り返していると、漸く炎が収まった。 炎が収まった事を確認したリオが息を吐いてその場に座り込む。 そんなリオにディルが駆け寄っていた。 炎が完全に収まって、俺はゾンビが居た場所を見た。 そこは大部分が焼け焦げていて、ゾンビの姿は跡形もなく消え去っていた。

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