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第238話
「………ごめんなさい」
ミラに向かう馬車に乗ってしばらく、漸く落ち着いた俺は3人に頭を下げていた。
その原因は俺が暴走してしまったこと。
パニクってたとはいえ、あんな所で攻撃魔法を使うなんて……
しかも火魔法の爆発系、最悪の選択だ。
俺は後悔から両手で顔を覆った。
「いえ、私も見誤ってしまったので」
とリオさんが言う。
リオさんは俺が放ってしまった魔法を防ぐ為に魔力を使い過ぎて動けなくなってしまった。
今は俺が渡したMPポーションを飲んでいるところだった。
「……どうだ、リオ」
MPポーションを飲み終えたリオさんにディルがそう聞く。
「大丈夫です。少し楽になりました」
そう言って笑顔を見せるリオさんに、ディルはホッと息を吐いた。
俺がリオさんに渡したのはローポーション。
その人が持つ魔力量の1/3を回復してくれる。
念のために買っておいたローポーションだけど、こんな事ならハイポーションを買っておくんだった。
そう思って、俺は更に後悔した。
「私もフタバさんならアンデットを目の前にしても大丈夫だと思っていたんです。これ程までに苦手だとは思っていませんでした、申し訳ありません」
そう言ってリオさんが頭を下げてきた。
「そんな、謝らないでください!俺がパニクって選択を誤ってしまったせいで皆に迷惑掛けてしまったので。
………それにリオさんが居なかったら皆無事では済まなかった筈です」
『ありがとうございます』と言って頭を下げると、リオさんがクスクスと笑った。
「フタバさんの魔法は強力ですからね。正直な話、自分でも防げたのが不思議なくらいなんですよ」
そう言ってリオさんは笑う。
………それって、笑い事じゃなくない!?
「でもリオがこんな状態じゃ、明日レオーネに戻るのは難しそうか」
そうディルが呟く。
「私なら平気ですよ。ポーションも飲んだので、少し休めば動けます。それに明日ミラを出発しなければ日程が合わなくなってしまいます」
そう言うリオさんにディルがしばらく悩む。
「………分かった。でもリオはしっかり休む事!今日は何もするな!」
そう言ってディルがリオさんに指を突き付ける。
「しかしそれでは……」
ディルの言葉に、リオさんは異を唱える。
「駄目だ。しばらくは大人しくしていろ」
『これは命令だ』とディルが付け加える。
「…………はい」
ディルがリオさんにここまで強く出るのは珍しい。
普段はリオさんの方が強く見えるけど、やっぱりディルはリオさんの主なんだと思う。
シュンと落ち込むリオさんを見て、俺のせいなだけに申し訳なくなる。
「……リオさん、本当にごめんなさい。俺も出来るだけサポートするんで」
俺がそう言うと、リオさんはニコッと笑った。
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