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第241話
ハンバーグを焼き終えて見ると、レイスが作ってるスープも出来上がるところだった。
俺はお皿に焼いたハンバーグと付け合わせの野菜を盛り付けていく。
レイスも出来上がったスープを器に盛り付けていた。
それらをテーブルに並べていく。
「……うん、これで完成かな」
俺は納得の出来映えに頷いた。
全員が席に着いて俺が作った料理をまじまじと見つめる。
「………これがハンバーグ?」
レイスがそう呟く。
「そうだよ。俺の故郷の料理で、細かくした肉を捏ねて丸めて焼いた料理。皆の口に合えば良いんだけど」
『じゃあ食べるか』と言うディルの一言で、皆に定着してしまった『いただきます』をしてハンバーグを一口食べた。
ハンバーグ久しぶり。
元の世界でも、最近はあまり作ってなかったからな。
ソースもトマトソースにして正解だった。
ソースは悩んだ結果、トマトを赤ワインで丸ごと煮込んだトマトソースにした。
この世界の調味料の中にイタリアンっぽい香りのハーブを見つけて、それをアクセントに使ってみた。
何て言うハーブなのか知らないけど、味と香りはバジルに似てるかな。
………醤油とかあれば和風ハンバーグも出来るのになぁ。
そんな事を考えながら皆を見ると、皆は無言でハンバーグを口に運んでいた。
皆用に俺の手のひらくらいある大きめのハンバーグがどんどん減っていく。
…………これは気に入ってくれたのかな?
「ハンバーグまだあるけど、いる?」
俺がそう聞くと、ディルの目を輝かせる。
レイスも食べると言って、俺は二人のお皿にハンバーグをのせてソースをかけた。
……よくあんなに食べられるなぁ。
そう思いながら、俺は二人を眺めていた。
「フタバさん、ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
食べ終えて食後のお茶を飲んでると、リオさんがそう言う。
「口に合って良かったです」
「本当に美味しかったです。私の分までありがとうございました」
従者の人が興奮気味に言う。
本来、従者は主と一緒に食事をすることはない。
でもディルがそういうのを嫌うから、こういう時でも従者の人も一緒に食事をする。
「あんなに柔らかくジューシーな肉料理は初めてです」
そう言って笑う従者の人を見て、俺も嬉しくなった。
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