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第242話

朝起きると、既にリオさんが朝食の支度をしていた。 「リオさん、おはようございます」 「おはようございます、フタバさん。相変わらず早いですね」 そう言ってリオさんが笑う。 「こういう時って、どうしても早く目が覚めちゃうんですよね」 俺は『ははっ』と笑ってみせた。 「ところで、リオさんはもう体調は大丈夫なんですか?」 「お陰様で、もう大丈夫ですよ。ご心配お掛けして申し訳ありません」 そう言ってリオさんが頭を下げる。 「そんな謝らないでください。元はと言えば俺のせいなんですから」 慌てる俺に、リオさんはフッと笑った。 「あ、えと……俺も朝食作るの手伝います」 「じゃあ、お願いします」 そう言ってリオさんはクスクスと笑った。 「フタバさんはこの後どうなさるのですか?」 一緒に朝食を作っていると、リオさんが不意にそう聞いてくる。 「この後?」 「宮に戻った後の事です。恐らく、帰ってからは私もディル様も公務で忙しくなるので、同行は難しいと思います。それにフタバさんは既に私が魔法を教える必要はないかと」 ………そっか、今まで一緒だったから居るのが当たり前になってたけど、元々は魔法を教わる為にディルたちの所に来てたんだよね。 それが必要無いってなると、俺たちがディルたちの所に居る理由が無くなっちゃう。 「………レイスに聞いてみないと」 俺は答えが見つからなくて、取り敢えずそう答えた。 ずっとあそこには居られないのは分かってたのにな。 いつの間にか、あそこが家みたいになってた。 ………でもそうだよね、俺はあくまで一般人でディルは皇子で、一般人と皇子が一緒に居ること自体がおかしかったんだ。 ………でもやっぱり、ちょっと寂しいな。

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