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第243話
(レイスside)
朝からフタバの様子がおかしかった。
ずっとぼんやりとしていて上の空だし、話しかけても生返事ばかりだった。
「どうかしたのか?」
休憩中、俺は少し離れた場所でまたぼんやりと空を眺めていたフタバの横に座りながら聞いた。
「……レイス」
「何か元気が無いようだけど、何かあったのか?」
そう聞くと、フタバは俯いて膝を抱えてしまった。
「…………リオさんが、俺には魔法を教える必要がないって」
フタバはぽつぽつと話始める。
「フタバは戦闘経験は乏しいけど、魔法に関してはリオより強いからな」
俺がそう言うと、フタバは顔を膝に埋めてしまう。
「それがどうかしたのか?」
「……リオさんに魔法教えてもらう必要が無かったら、もうあの離宮には居られないのかな」
フタバがそう呟く。
そうか、元々ディルの所に行ったのはフタバに魔法を学ばせる為。
フタバに魔法を教えるならリオが適任だと思ったからだ。
そのリオがもう教える必要はないと判断したから、フタバは離宮を出なきゃいけないと思ったのか。
「それはフタバ次第だな」
俺がそう言うと、フタバは埋めていた顔を上げてじっと見てくる。
「……それって、どういう意味?」
「元々あそこを拠点に、という話だったんだ。だからずっとあそこに居ても良いし、別の場所に拠点を移しても良い」
「…………出ていかないの?」
そう言ってフタバの表情が期待に変わる。
「だからフタバ次第。フタバが別の場所が良いって言うなら、他を探すけど?」
そう言うと、フタバは首を振る。
「あそこが良い。あ、でも……ディルとリオさん、これから忙しくなるって言ってたから邪魔になるかな?」
「今更だろ。それに出ていくなんて言ったら、ディルがごねそうだな」
少しいたずらっぽく言うと、フタバはクスクスと笑った。
……どうやら気持ちが浮上したみたいだな。
俺は笑うフタバを見て、ホッと息を吐いた。
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